第13話 海で気づく何か
早いもので夏休み始まってもう8月。まだ始まって3日ぐらいしかたってないような気がするんだけどなぁ。それはそうと今日はみんなで海に行く日である。
早速俺はピンチなのだが…。過去の俺、なぜ約束を了承した...。
俺上野明はシンプルな髪型をしている。だが、俺が早川栄太としての髪型ではウィッグなどはつけていないので、海に入るともろに上野明の髪型になってしまうため、絶賛頭を悩ませ中だ。悩んでてもしょうがないので家を出るが、いまいち気分は乗らなかった。
交通機関を使ってきた海では人がたくさんいた。
あれ、これさらにバレやすくなるやつじゃね?
「栄太ー大丈夫かー?なんか暗い顔してるけどよ?」
「最近海に来てなかったから緊張してるんだよ多分(?)」
「栄太はなにいってんのよ、まったく...」
「そうだよ早川君、楽しもうよせっかく来たんだし!」
「まぁ、そうだな」
あんだけ心配していたが、意外と見られても問題ないような髪型で助かった。
普通に楽しんでいる。あと女子二人の可愛さという攻撃が強すぎる。現に今も何人かの男の人たちが水で遊んでいる未海や中野さんのことを見ている。
「そろそろ昼食わねぇか?」
「そうだね!おなかすいてきちゃった!」
「俺も賛成」
「私もです」
「とりあえず焼きそばでも買ってくるか?」
「俺はいいけど他二人は?」
「「いいよー」」
ということで俺と雅で焼きそばを買いに行くことにした。
そこで俺はやらかしてしまったことに気付く。
「なぁ雅」
「どうした栄太?」
「未海ってまあまぁかわいい方で中野さんに至ってはクラスで一番の美少女って言われるほどかわいいよな?」
「確かにそうだが...急にどうした?お前普段かわいいとか言わないのに」
「つまりここで女子二人を残したらさ...」
「そういうことか...」
「ああ...俺戻るわ、雅はそのまま並んどいてくれ!」
「おいちょっと待てって!あーあ、行っちまった」
クソッなんでもっと早く気が付かなかった!いくら彼氏とかそんな関係じゃなくても海で女子を置いていくのはダメだろ――!
戻ってみると案の定絡まれており、周りの人も助けようとしない。
「ねぇ今から遊ぼうぜ?俺たち二人と君たち二人で!」
「嫌です!私たち一緒に来てる男子を待ってるんです!」
「ちょっとくらいいいだじゃねぇか?どうせ付き合ってもないんだろ?」
すると男の一人が中野さんの腕を掴んだ。
「掴まないでください!」
「じゃあいっしょに来てくれるか?」
「だから嫌だと言っているじゃないですか!」
「じゃあやっぱこうするしかないよなぁ?」
この光景を見ていた俺は、変な気分になった。自分以外が遅く動いているようで、中野さんの近くに知らない男性がいるのが嫌になって、言葉ではこれ以上言い表せないような自分でもわからない怒りを覚えた。そして実際の1秒が体感3分ぐらいになっている。なんだ...これは?
中野さんの近くに俺以外の男の人がいるのが嫌だ。
思い出してみれば俺は最近、未海としゃべっているときと中野さんとしゃべっているときでは何か違う違和感があった。もしかして...俺は...中野さんのことが好きになってしまった?普段陰キャの俺では一方的になってしまうのに?
そのとき、すでに体は動いていた。
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