第34話 1.4.10 ミスコン⑦

「この後、10分間ほど休憩時間とします。ミスコンは6時45分から再開します。そして次のお題は『 告白』。皆さんも今か今かと待ちに待ったシチュエーションだと思います。美少女たちが演じる『 告白』。ぜひ楽しみにしていてください」


 司会のアナウンスが会場に響き渡った。トイレに行く者、出店で飲食物を買う者、スマホで暇をつぶす者など各自自由に過ごしていた。


「私はさ」


 前田さんが話し出す。


「プリコネが嫌いになったわけじゃないんだ。さっきは散々ディスったけど。もう一度新規勢や復帰勢がどんどん入ってきてプリコネが盛り上がってほしいっていうのは本心なんだ。だからここからは読者のみんなに今のプリコネはどんなに素晴らしいかメリットだけ伝えるね!」


 ちょっ、待てよ!! ︎︎いきなりメタ発言やめい!


「まず1つ目。天井の交換ポイントが300から200に下がった!」


 天井という単語はソシャゲでよく使われる言葉でいわばガチャで絶対キャラと交換できるポイントのことである。


「昔は300、プリコネは10連で1500ジュエルだから天井は45000ジュエルだった。でも今は200、天井はたったの30000になった。正直言うと300から200になったとき革命だなって思った!」


「でも一部ではピックアップが仕事しなくて逆に天井が増えたという意見もありますが?」


「結城君、今はネガティブ発言禁止! ︎︎今はどれだけ多くの読者をプリコネ沼に沈められるかが重要なんだから」


「あ、すみません」


「2つ目はレベル・ランクシンクロ。これはたったの20キャラを育成すればマナやポーションの消費無しで他のキャラも同じ水準まで育成されるというシステムだね。これも革命だと思う。たったの20キャラさえ育成すれば他のキャラも簡単にあっという間に育成できちゃうからね。すごい時短効果だよね!」


「でも一部では育成という作業が楽しみだったのにその楽しみを奪われてしまうのかという意見もありますが?」


「結城君、ネガティブ発言禁止! ︎︎めっだよ!」


 前田さんはめっとかわいいポーズで叱ってきた。


「すみません。でも俺もレベル・ランクシンクロは必要なことだったと思いますよ。今やプリコネは300ぐらいキャラいるじゃないですか。300キャラもいちいち育成してられないですからね。あと、運営としては育成よりも深域クエストに時間を使ってほしいんじゃないんですかね」


「結城君、良い視点だね。レベル・ランクシンクロは時代の流れだったということだね。たしかこれは他のソシャゲから輸入したシステムだったはず……。スタレ? ︎︎ニケ? ︎︎からだったと思う」


 前田さんはうーんと腕を組み悩んでいた。っていうかこの人いちいち仕草がかわいいな。まるでモルモットやハムスターみたいな小動物みたいだ。


「3つ目。初心者ブースト。これはカンスト直前までノーマルクエストのドロップ率3倍、マナ2倍になったことだね。これのおかげで初心者にとって育成はしやすくなったよね」


「俺もサブ垢で初心者ブーストの恩恵を受けているのですが本当に育成がしやすくなりましたね」


「うん、本当にね。これは運営さんの賢明な判断だったと思う」


「ですね」


「これで読者のみんなにプリコネの素晴らしさは伝わったかな? ︎︎じゃあ、読者のみんな今すぐプリコネを始めよう!! ︎︎絶対にだ!!」


「プリコネは衰退してるという意見もありますが俺はそうは思いません。Xのフォロワーも100万人超えてますし。プリコネはどうしても商業作品なので売上が必要です。だから課金圧の高さはしょうがないのかなと思います。でもプリコネは配布も多いので他のソシャゲよりジュエルが貯まりやすいです。思い立った日が吉日。少しでもプリコネが気になったら始めましょう。今すぐに!!」


「じゃあね。読者のみんな、バーイ!」


「バーイ!」


「いや、君たちはどこに向かって言ってるんだ……」


 田中さんが呆れたようにツッコンでくる。


「「え? ︎︎馬鹿には見えないカメラ?」」


「いやいや、ロシデレかよ……」


「というわけで田中君もプリコネを始めよう!!」


「え!? ︎︎田中さんプリコネやってなかったんですか!?」


「ああ、実はな……」


「そうなんだよ〜。この薄情者めっ!」


「これも何かの機会だからプリコネをインストールするか……ん? ︎︎このアプリ15GBもするのか!?」


「あー、プリコネというか最近のソシャゲは容量やばいからねー」


「ちょっと本館に行ってくる。そこだと大学のWiFi使えるから」


「私もお供するよー。結城君もどう?」


「すみません。俺は用事があるので失礼します」


「あー、彼女ちゃんに公開告白したこと謝らなきゃだしね」


 前田さんはニヤニヤしながらそう言ってきた。


「じゃあ、結城君も頑張って!」


「はい、ありがとうございます」


 それで俺は結衣ちゃんがいるであろう控え室に向かった。


 ☆


 そんな控え室に向かっている最中の渡り廊下。そこで俺は目的の人物を見つけた。


「あっ、結衣ちゃん」


 俺はそう彼女である結衣ちゃんに声をかけた。


「っ!? ︎︎〜〜〜!!」


 俺に気づいた結衣ちゃんは耳まで真っ赤になり、ダッシュで逃げてしまった。


「ちょっと、待って待って結衣ちゃーん!!」


 俺も追いかけようとするが突然アメフト部の集団が現れ渡り廊下を横切ってきた。


「「「1・2・3・4ー!! ︎︎1・2・3・4ー!!」」」


 アメフト部は走り込みの練習をしていたのだろうか50人ぐらいいた。アメフト部が通り過ぎる頃にはもう結衣ちゃんを見失ってしまった。


「……え? ︎︎俺、結衣ちゃんに避けられてる?」


 ☆


 俺はその後のことをよく覚えていない。結衣ちゃんに避けられているという事実に傷ついた俺は無心のまま控え室にいた。


「コウ君? ︎︎……おーい、コウ君大丈夫?」


「優奈か。どうした?」


「どうしたはこっちのセリフだよ〜。コウ君が控え室に来てから心ここに在らずって感じだし。……もしかして失恋しちゃった?」


 失恋。俺はその言葉に動揺してしまう。俺は失恋したのか……?


「……」


「え? ︎︎本当に失恋しちゃったの?」


「……分からない。ただ公開告白した後、結衣ちゃんに避けられてるみたいなんだ」


「好き避けですね」


 突然シルヴィアが現れる。


「好き避け?」


「はい、恥ずかしがり屋の水原さんにとって公開告白は一種の拷問ごうもんだったのでしょう。好きな男の子からの告白は嬉しい、けど公開告白はあまりに恥ずかしすぎた。だから好きだけどお兄ちゃんを避けてしまうという状況なのでしょう」


「なん……だと……。俺は一体どうすれば……?」


「お兄ちゃんしゅきしゅき大しゅきホールドの刑です」


 え?


 そう言ってシルヴィアは後ろから抱きついてきた。


「あっ、ずるいずるい!! ︎︎私もコウ君にしゅきしゅき大しゅきホールドするー!!」


 そう言って今度は優奈が前から抱きついてきた。俺は女の子特有のいい匂いと柔らかさに包み込まれていた。シルヴィアは胸を強調することなくただ静かに抱き締めてきた。だから最初はバクバクしていた心臓も落ち着き徐々に冷静さを取り戻していった。優奈は普通に恋人のする甘えるようなハグだったけど。


「お兄ちゃん落ち着きましたか?」


「ああ、ありがとう、シルヴィア」


「お兄ちゃんがしなければいけないことは何ですか?」


「今すぐ結衣ちゃんを見つけて公開告白について弁明する」


「正解です。じゃあ頑張ってきてください」


 シルヴィアはそっと俺から体を離した。優奈も空気を読んだのか体を離した。


「ありがとう、シルヴィア」


「いえいえー、お兄ちゃんファイトですよ」


「もしコウ君が振られたらいよいよ私が1番目の彼女に昇格かな!?」


 ははは、縁起でもねー。


「あはは、冗談だよ、コウ君。このままお別れはさすがの私も気まずいしさ。私も応援してるからね。ファイトだよ、コウ君」


「ありがとう、優奈」


 こうして2人に背中を押された俺は結衣ちゃんを見つけ出して弁明せねばと思い、駆け出すのだった。


━━━━━━━━━━━━━━━

最新話までお読みいただきありがとうございます!

結衣に好き避けされて今後の展開はどうなるのだろうと思った方は星評価お願いします!

https://kakuyomu.jp/works/16817330650764398563



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺と彼女の恋愛方程式 藍原コウ @aiharakotaro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ