置き逃げ
翌日から、また寺では奇妙な事がおこりはじめた。最近の事件のように派手で物々しいことではなかったが、それはそれにもにた奇妙な香りを漂わせていた。初めに気が付いたのは、生善だった。
「なんだ?これ」
朝起きると庭先にあるものが捨てられている、といっても、段ボールにくるまれ、わざわざ置手紙まで添えられている。
(まさか、生き物とか、生々しいものじゃないだろうな……事件の香りがするような)
生善もここ数日の事で気持ちがまいっていたため、ついそんなことを想像してしまった。
「う、うーん……」
どきどきしながら、屋根の下に置かれているとはいえ昨夜ぱらついた雨のせいでしめっていて、それがまた不気味さを醸し出している。震える手で段ボールのよっつあるヘリのうちの一片をにぎり、ぺりと上にもちあげた。だが、中から物音もせず、妙な臭いや音もしない。勇気をだして、あと二つのヘリをはがすと、中には陶器らしき形状のものが形をたもったまま紙に包まれてはいっていることがわかった。ここでようやく手紙に目を通す。
「これはうちの家の蔵にあったものです、私の家に置いておいても使うものもおらず、あまり褒められた家柄でもないため、どうかこちらで供養するなどして、もしさわりがないようであれば、売ってお金にしてくださってもかまいません」
「褒められた家柄じゃない?……いわくつきの品か……ふむ」
生善はすぐに勘づいた。だがこうしたことは珍しいことではなかった。そもそも供養なども無償でやっているために、特段問題はない。だが生善は、能力さえあれどものに残された過去、残留思念などを見るのが苦手で、直接あってそれにまつわる話をきかなければ、なかなかこうしたいわく品の供養なども手こずるのであった。だがその日は朝から仕事があり、
「あっ」
とそれを思い出すと、そうしたいわく付きのものを一時的に保管しておくお札のはりつけられた蔵に保管しにいって、その日はそのことを夜まで忘れたのだった。
その日もクレンが先に帰宅して、風呂や食事などの準備をした。普通の坊さんであればそこまで遅くなることはないのだが、退魔師の仕事も無償で行っているため、生善は連絡なく帰宅が遅れることもあった。
「しょうがないなあ」
そんなことをいいながら、クレンはため息をついて例の気を失ったままの男の看病をして、宿題や、セイヤとインターネット上で落ち合い、PCゲームなどをして、父の帰宅をまっていた。
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