意識が戻ると、何事もなかったように、意識のない男はクレンの前で布団の中で寝息をたてていた。クレンはこれまでにないような、気が体の中で渦巻くかのような不思議な感覚を覚えたのだった。

「あれは……本当だろうか」

 クレンは今みた景色を整理する。男の、ダレスという男の意識を感じ取った。彼は明らかに怨霊に自分の経験ににたものを感じ、仲間だと思っていた。

「カルマテイカー……か、兄さん、僕のせいなのか?」


 しばらくすると父が帰ってきて、クレンは食事の支度などを終えた。父が先に風呂に入り、ダイニングで食事を一緒にとる。クレンはその時もずっと考えごとをしているのだった。

「……」

 食事の手が時々とまり、つけているテレビでもなく、食事と宙の間をみつめているクレンをみて、むかいに座る生善は何かをさとったらしく、声をかける。

「どうした?心ここにあらずっていう感じだぞ?何かあったか?」

「……あ、ああ」

 クレンはここ最近のどたばた、兄のこと、そして先ほどのことを考えて、物思いにふけっていたのだが、自分がぼーっとしていることにすら気付かないほどだった。

「いや……最近力を使う機会が多くて、妙な感覚に……」

「あー……そうだな、お前にも負担をかけすぎた、ルンナにもいってあるから、今度何かあればかけつけてくれるはずだ、すまないな、お前はもうやめたのに巻き込んで」

「いや……そんなことは……」

 みるともなく、テレビに視線をうつすクレン。

「それより父さん“瞑想次元”ってどんな感じ?」

「ん?あれは、一朝一夕に身につくようなものではないぞ、修行に2,3年はかかる」

「それは十分わかっている、ただ気の流れとか、何か」

「ああ、なんだろうなあ、通じた相手と同じ空間に隔離されてそのものの過去をみて、それから……気が渦を巻いて、少しよったような感覚になるな」

「やっぱり……」

「心当たりがあるのか?」

「いや、ないよ……昔そんな感覚だって母さんにきいたから」

「ああ……」

 生善はその日つかれていて、ぼんやりとした会話をおえ、そのまま床に就いたのだった。そして彼は夢をみた。幸せな夢、風呂でもよく考えることだが、いまでも彼の妻がいきていて、一緒に生活している想像の夢。それから……現実の彼は涙をながしている。そしてその夢が終わる頃にふと現実に引き戻されるのだ。彼と二人きりの病床にて、彼女が口走った言葉。

「あなた……私の事を信じてね、あの子の事をお願いね」

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