結末
「フッ!!」
短い呼吸で、男の顔面に右こぶしをあてるしぐさをした。かとおもえばそれはすんでのところでとまり、男は短い悲鳴をあげた。
「ひいぃ!!」
男の襟首をつかんで、次に腕ごと袖をつかむと投げ飛ばした。男より、魔女の姿をした亡霊のほうがかしこかったらしくすぐさま踵をかえすと、主人のある部分を守ろうと主人めがけてとびかかり上におおいかぶさる。と同時にクレンは狂気に満ちた笑いをみせて、男の首元めがけて右手の平を伸ばす。体全体の気が集中した手のひらは熱く、そして神々しく光っている。
「グゥウオオオ!!」
悪霊の覆いかぶさった男は横たわり、悪霊は大口をあけて口から風の吐息をふきだした。クレンはその悪霊が守る男の背後、首元をめがけて手を伸ばす。だが悪霊の抵抗が大きく、なかなか本体に届かない。
「しまった、だが……まだ……できるか?“あれ”が、撃てるはず……」
クレンの頭の中に、前の事件で捕らわれた生善を自分ひとりで守ることができなかった後悔と焦りが浮かぶ。もしや今回も、ブランクのせいでこの敵を倒すことができないんのではないか。怪我をすれば父に心配をかけ、周囲にも迷惑がかかるし、不安も増えるだろう。何かが、自分の周囲で立て続けに巻き起こっているとはいえ、対処しなければならないし、素早く対処し、解決するに越したことはない。
「あれだけ修行したんだ、大丈夫のはず……」
「グウウオオオ!!」
クレンが手に思い切り力をいれ、悪霊の力を跳ね返しおしつぶそうとする。悪霊がまけじと風をはきだして押し合いになる。
「うおおお!!」
クレンも圧倒されないように大声をあげる。そしてある呪文を吐いた。
「クレタバ、レタルベ」
その瞬間、クレンの手のひらが光りとともにキーンと耳鳴りのような音をならし、そしてクレンの手のひらから、手のひらの形をしたままの光だけが敵の首筋にむかって発射された。
「グ、グエエエ!!!!」
男は弱点を突かれたことで悲鳴を放ち、のたうちまわった。と同時に悪霊は蒸発するように姿をけしてしまった。クレンの目には、契約の模様が一時的に弱まり、薄くなったのがみえた。
「う……うぅ……」
男は、しばらくうめいていたが気の当たり方がまずかったのかずいぶん苦しみ、手足を丸めて悶絶したあと、ふと動かなくなり横たわった。そして、クレンは男の状態を確認するためにてをのばして首の脈を確認する。その時だった。
「レンちゃん……?」
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