第133話 同情する者たち
よたよたと初めて飛翔していたオレたち(烈牙さんを除く)は、不審者としてレーゲンランドに捕獲されてしまった。
「何者だ?」
レーゲンランドの集会所のような場所で、首長である男天使の前に突き出されるオレたち。周りを見渡せば、皆ピリピリしているのが良く分かる。それが国の一派が亡命したからなのか、それがブラフであることを覚られないためなのかは分からないが。
「我々は地上の冒険者です」
ざわつくレーゲンランド。
「地上の冒険者が何故翼を持っている」
翼を広げ威嚇してくる首長。天使の翼は生やしたり消したりできるだが、天使たちは常時生やしっぱなしだ。それが天使である矜持であるかのように。
だからレーゲンランドに着いた途端に翼を消したオレたちはひどく警戒された。
「不死鳥を捕まえたのはオレたちなんだよ。それなのにあの島の奴ら、それを横取りしたんだ」
「ほう」
オレの話にちょっと興味を示し始めた首長に、話の先を促される。
「不死鳥と離されて軟禁されてたんだけど、奴らオレたちに翼の刺青を彫った上に洗脳して戦士に仕立てようとしやがったのさ。でもヴォルケランドにも話の分かる人はいるものでね、その一派の手助けによってオレたちは洗脳前に逃げ出すことに成功したって訳さ」
話し過ぎたか? と思っていると、
「それは、大変だったなあ」
とレーゲンランドの皆さんは泣いて同情してくれて、オレたちを迎え入れてくれたのだった。
「何と、それは本当か!?」
「ああ、不死鳥とはコードの交換をしているから、いつでも連絡できる。ただ、あいつら不死鳥を神聖視してるだろ。どこかに隔離しているみたいで、オレたちも手出しできなかったよ」
場所を食堂に移しても、親身になってオレの話に耳を傾けてくれる首長やレーゲンランドの天使たち。
「全く、けしからん話だよ。神聖なるはマザーお一人だけだというのに、奴らはそれに比肩するかのように不死鳥を神聖視している。奴らは異常だよ」
と首長は主張する。
「不死鳥にせよ、ペガサスにせよ、あのような霊獣は我々に食されてこそ意味があるのだ」
そう主張する首長は、本当に不死鳥を食べることで自分たちがマザーに近付けると信じているようだった。ハァー、これさえなけりゃ、ヴォルケランドを裏切ってレーゲンランドについても良かったんだけどなあ。
「とにかく、オレたちにも冒険者の矜持がある。こんなやられっぱなしではいられないんだ。今度の戦争、オレたちにも加勢させれくれ」
オレたちの申し入れを、レーゲンランドの天使たちは快く受け入れてくれた。
その日の夜、オレたちは一人の天使の呼び出しにより、浮遊島の隅にある塔へと連れて来られた。
そこでは十数名の天使たちが卓を囲っていた。
塔の扉が閉められると、このグループのリーダーらしい女天使が口を開く。
「私はこのレーゲンランドで、霊獣解放派のリーダーをしている者です」
ほう、そんなグループもいるのか。
「急な呼び出しをしてしまい、申し訳ありません。あなたたちとお話をしたかったものですから」
女天使に席を勧められてオレたちも卓につく。
「間違っていたらご免なさい。あなたたちは不死鳥を食べることに抵抗があるのではないですか」
いきなり核心を突いてきたな。オレは仲間を見渡してからこっくりを頷く。やにわにホッとする霊獣解放派の天使たち。
「良かったです。あなたたちがあのような古い因習を肯定するような者たちじゃなくて」
肯定していたらどうなっていたのだろうか? …………あまり想像したくないな。
「確かに、オレたちは不死鳥を、仲間を助けたい。そのためにあの島を抜け出し、ここまで来ました」
オレがカナリアを仲間を発言したことで、うるっとする天使たち。どうにもレーゲンランドの天使たちは同情しやすい
「分かります。分かりますよ。ですが今のレーゲンランドの上層部は古い因習に囚われた古参たちに占められています。私の友人はこの国のやり方に嫌気が差し、ヴォルケランドへ亡命すると出ていきました」
ああ、あのレーゲンランドの天使たちか。
「我々は今のレーゲンランドを変えたいと思っているのです。どうか、同じく霊獣を愛する者として、力をお貸しいただけないでしょうか?」
と言われてもなあ、要は革命の手助けをして欲しいということなのだろう? その革命の成功いかんによっては、カナリアどころかオレたちもヤバいことになってくる。
ハァー、また面倒なことになってきた。
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