第55話 ライブの成功パーティ

遊園地でのライブ翌日の日曜日、メールの着信が来たのかスマホの振動で目が覚めた。

俺はスマホを見ると、咲良ちゃんから昨日のライブの成功パーティを17時から事務所でしないかとの内容だった。

俺は了解のメッセージを返信し、何時から準備するかと返信すると、助けてくれたお礼も兼ねてるから準備は全部自分1人でやりたいとのことだった。

俺は、女子にそんなことをしてもらったことがないため、無駄に緊張しながらその時間まで待つことにした。




目を覚ました俺は時間を確認すると、ちょうど昼だったので軽めに昼ご飯を食べることにした。

俺はカップ麺にお湯を注ぎ待っていると、由愛がやってきて怒り始めた。


「もうカズ兄!言ってくれたらお昼ご飯作るのに何でカップ麺なんか食べるの!!」


由愛は、自分の料理を食べてもらえずカップ麺に嫉妬しているのだ。

まったくかわいい妹だ。


「あ!今夜ご飯食べに行くから夜ご飯俺の分作らなくていいよ!」


「もう!早く帰らないとダメだよ!」


「分かってるって!」


俺はそう言いながら出来上がったカップ麺を食べていると、テレビで昨日の遊園地の出来事をニュースでやっていた。


「やっぱ、ニュース取り上げてくるよねー」


一応メディアの立ち入りを禁止にしていたが、みんなスマホで撮った写真や動画をツブッターに上げたため、それをニュースに採用されたみたいだ。

そこにはツブッターCEOが声だけ登場し、皆にすごいサプライズをしたことが取り上げられており、参加者にインタビューをして、皆からすごい好評だったとの事だった。

アテナの姿もしっかりと撮られていた。


≪あ!マスター!!あのかわいい子は誰ですか!?≫


アテナは自分がテレビに映っているのがうれしいのか、急に話しかけてきた。


「えっと・・・」


俺が言い淀んでいると、アテナはイキイキとしゃべる。


≪正解はアテナちゃんでした♪≫


なんだかアテナはとてもうれしそうだ。


≪これは、私の時代が来ましたね!≫


今回は、咲良ちゃんのデビューライブであったことと、ホログラムという新技術披露のために、アテナを皆の前に出した。

今後しばらくは、あまり目立って欲しくないんだけどね。

しかしアテナは、ホログラムで皆の前に姿を現し、歌えたことが本当に楽しかったみたいだ。

アテナのハイテンションはしばらく収まらないだろう。

あと、俺は音声の登場だけであったが、CEOが俺だと世間にばれなかったらいいわけなので、全然想定の範囲内ではあった。

遊園地の方は、今日からしばらくは改装工事なので遊べないが、そこはみんな納得してくれただろう。

今後は、ホログラムを前面に押し出した、世界で1番ハイテクな遊園地にする予定だ。

今までの形を残すことも考えたが、やはり新しいものを存分に取り入れないと技術は先に進まないので、積極的に新技術を取り入れることに決定した。


「遊園地再開したら皆受け入れてくれたらいいんだけどね」


どうしても最新の技術を取り入れると、その技術に付いて来れず、これは遊園地じゃないという人が出てくる。

逆に元の状態に戻すと、こんな時代にまだこんな古い遊園地やっているのかと言われる。

普通、それらを出来るだけ言われないような遊園地作りをするのであれば、古い遊園地に少しずつ未来の技術を入れていき、少しずつ未来に慣れてもらうという方法を取るだろう。

しかし俺は、中途半端なことは止めた。

なぜならそれは、最初は違和感かもしれないがその違和感こそが新しいという感覚なので、その違和感を楽しんでもらえる遊園地にしたいと思ったからだ。

その楽しさが、この遊園地から広がっていき世界に浸透するのを目標にしている。


「きっと大丈夫だよ!みんなあの遊園地がどう変わっても遊ぶ場所があそこしかないんだから!」


まぁ、確かに遊園地のようなアトラクションは、あの遊園地を除くと車で1時間以上かかる場所にしかないので、手軽にアトラクションで遊びたいとなると、あの遊園地ぐらいしか選択肢がないのだ。

里奈は続けて口を開く。


「それに、きっとみんなあの遊園地のこと好きだから、リニューアルしても遊びに来てくれるよ!」


俺は、その言葉通りになるように祈り昼飯を食べ、部屋に戻った。

咲良ちゃんに指定された時間まで時間はまだたんまり残っている。

俺は、ゲームをして時間をつぶすことにした。




ゲームに没頭していた俺は、約束の時間が迫っていることに気付き、慌てて家を飛び出す。

ゲームの怖いところは、時間間隔がなくなる所だな。

危うく、夜中までやってしまうところだった。


そして事務所にはすぐに着いた。

さすが、利便性を考えて買っただけのある事務所である。

少し高かったがいい買い物だ。

俺はそんな事務所に入り、エンジェルハートの事務所である3階に向かう。

まさかこの事務所を買うとき、アイドル事務所も中に作るとは思わなかったな。

いつなんどき、何が起こるか分からないものである。


俺はエンジェルハートの事務所に入ると、中では咲良ちゃんが着実に準備を進めていた。

咲良ちゃんは俺が来たことに気付いたみたいだ。


「あ!先輩!もう準備終わるのでそこで座って待ってください!」


まぁ確かにもう手伝うこともなさそうだし、座って待たせてもらうことにしよう。

俺は、テレビも見て時間をつぶしていると、5分ほどで咲良ちゃんは準備がすべて整ったのか、俺の元にやって来た。

そして、咲良ちゃんは何故か俺に抱き着き、向かい合うように膝の上に座ってきたのだ。


「えっ、なっ!咲良ちゃん。どうしたの?」


胸に咲良ちゃんの柔らかい胸が当たる。

里奈ほどではないが、柔らかさを感じる。


「先輩、お礼ですよお礼」


「お礼?」


「私を助けてくれただけじゃなくて、こんな立派な事務所に引き取ってくれた。そのお礼です」


そういうと咲良ちゃんの顔が迫ってきて、俺の口と咲良ちゃんの口がくっつく。

その唇はふっくらと柔らかく心地よかった。

しばらくすると咲良ちゃんは顔を離して口を開く。


「先輩、こんな私を助けてくれてありがとうございました!」


これで終わりかと思いきや、咲良ちゃんは予想すらしなかった行動に出る。

なんと俺の首筋にキスをし、そのまま舌で首すじをなぞっていく。


「ちょっ!何を!?」


すると咲良ちゃんは妖艶な微笑みを浮かべ口を開く。


「マーキングですよ先輩。もう私は先輩以外の男性を異性としてみることができなくなったんですよ」


そして再びキスをしながら、強く抱きしめてくる。


「この責任、取ってくださいね!」


それから、パーティが始まったのであった。




パーティが終わり俺は帰ろうとしていた。

咲良ちゃんにあんな一面があったなんて。

俺が事務所を出ようとしたその時、咲良ちゃんは俺を呼び止めてきたので俺は振り返る。


「私、先輩と出会えてとても幸せです!」


彼女は満面の笑みでそう言ってきたのであった。

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もし俺が世界的人気なツブッターのCEOだったら 若坂 ケイスケ @espod

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