第5話 放課後ゲーセンをたしなむのも悪くない!

次の日の放課後、俺は須藤とゲームセンターに遊びに来ていた。

なんだかんだで、須藤と放課後まで過ごしてしまう。

まぁゲーセンは楽しいからいいのだが。


まずは、UFOキャッチャーで好きなアニメのフィギュアがないかチェックして周る。

ゲーセンには頻繁に来ているため、普段はなかなか目新しいものは見かけられない。

しかし今日は違った。


「お!このアニメ、フィギュア出てるじゃん!」


俺は好きなアニメがフィギュアとなって景品に並んでる姿を見て興奮した。

俺はスマホのタッチ決済で支払い、挑戦する。

今時のお金の支払いって楽だよね。

俺はツブッター銀行とツブッターを連携することで、ツブッター銀行からの支払いでツブペイ決済ができるようになるのでそれを使っている。

ゲーセンのゲームであったり、自販機、コンビニ、どこででも支払いができるツブペイ。

いま世界中で使われているであろう決済方法だ。

少し前までは、お金を直接ゲーム機に入れないといけないので、両替が大変だった。

それにより、UFOキャッチャーでは、両替時に離れた際の横取りがなくなった事だろう。

今では、どこでもスマホで支払えるから財布なんて持ち歩かなくてもいい。

財布業界は財布が売れなくなり、スマホケースに重点を置き始めているほどだ。

俺はそんなことを考えながら、UFOキャッチャーを操作する。

しかし・・・。


「くっそ・・・取れねえ!」


UFOキャッチャーは取れないとき、湯水のように現金が消えていく。

この景品の取り方という説明書きがあったので、それを見ながらやっていたのだが、全然取れない。


「狙うところが間違ってるのか?」


俺は景品を観察することにした。

しかしいくら見ても、解決策は見えない。

俺は、スマホで取り方を検索することにした。

すると、須藤がこっちに来た。


「俺これ取り方、昨日動画で見たぞ!」


「まじか。お前ゲーセン来る前に、予習してんのか!!」


「当たり前だろ!そうしないと金なんていくらあっても足りないぞ!」


まぁ、確かにその通りだ。

俺は今この景品で5千円溶かしたからね。

普通に買った方が安そうだ。


「ほらこの動画!」


俺は須藤がスマホに映し出した動画を見た。

俺は見様見真似で操作し、5回で取ることができた。

このゲーム機に貼られてる景品の取り方、見ない方がよかったな。

確かにそれ通りやっても取れるかもしれないが、それ以外の方法で簡単に取れる方法がネットに出回っているのだ。

最初から動画見てからやればよかったと後悔したが、まぁ取れたし何より達成感が半端じゃなかったから別にいいやとなった。


あぁ、そうだ。

こういう嬉しさを共有したいときに、ツブッター使ったらいいんだな。

そう思った俺はすぐに実行に移した。

俺はフィギュアとUFOキャッチャーを撮影し、ツブッターにアップする。

ついでに、ゲーセンで狙ったフィギュアをゲット!など達成感がやばいなどの感想を載せてアップする。

すると続々コメントが来る。

皆クレーンゲームに興味津々みたいだ。

やったことがない人が結構いるみたいだ。


「みんな普段何やってるんだ?」


ゲーセンぐらい普通に行きそうなものだが。

そんな中。


【何をしているのですか?遊んでないで帰って勉強しようとは思わないのですか?】


痛いコメントが返ってきた。

てかこの人いつも返事が痛いな。

俺はそんなコメントにいいね!を押しておいた。

少しの抵抗だ。


さてと、狙った景品もゲットしたし、最後にメダルゲームでもするか。

そう思った瞬間、須藤もそう考えていたのか、メダルコーナーを見ていた。

そして須藤と目が合い、お互い行くか!とアイコンタクトを送り、メダルコーナーへと行った。


メダルゲームは実にコスパがいい。

お金をそこまでかけることなく長時間遊べるからだ。

メダルをいかにして増やしていくかという遊び。

一種のギャンブルを、現金に換金できないメダルで体験することができるのだ。

メダルを増やすのは、ギャンブルより難しくない。

まぁ、ゲームの機種によってはすごい量のメダルを消費し、一括千金狙いで遊ぶゲームもあるが、それは帰る前に手持ちのメダルを消費するのにちょうどいい。

また、当たってメダルが大量にゲットできれば、次回にも繋げることができるのだ。


最初は砲弾で、動くメダルの的を打ち落とすゲームをやった。

実にシンプルなゲームだが、俺は結構好きだ。

堀内は、競馬のゲームをやっていた。

それは、実際にウマの模型が走って競争するというリアル感を追求したゲームとなっており、それからか人気は結構高めとなっている。

俺はその姿を見て、将来競馬で賭けまくって破産する須藤の姿が容易に思い浮かんだ。

その姿は実に哀れだ。


「ゲームだけでも、優越感に浸ってくれよ・・・須藤!」


俺はそう言い、須藤の将来を案じてか、出てきた涙をぬぐった。

俺は着実にメダルを増やしていったが、須藤はメダルがなくなったようだ。


「須藤・・・お前。ゲームでも駄目だったのか!」


俺は悲しくなり涙が出そうになったが、それを抑え俺のメダルを分けてあげた。

そんな須藤には思い切り感謝された。


「ありがてぇ、ありがてぇ!」


そして須藤は気分を切り替えたようだ。


「もうちまちま稼いでられねえ!男はドンと稼ごうぜ!」


そう言い、入れたメダルの枚数を、ルーレットにより倍増していくゲームの方を指を差す。

これは短時間で結果が出るし、最大入れたメダルの100倍まで膨れ上がるので、賭けに出るときにやるといい台だ。

それを見て俺は須藤の将来が心配でならなかった。

そして2人で交互にメダルをかけて遊ぶことにした。

しかし須藤は当たることなく撃沈し、手持ちがなくなった。


「須藤・・・お前」


「分かってる、これ以上言うな!」


賭けれるメダルの最大を賭けたので須藤は即終了したのだ。

ほんとに一瞬だった。

俺はこのルーレットも確率だろうと思う。

外れる確率が大きいときはメダル1枚だけ賭け、当たる確率が大きくなった時に多めに賭けるゲームだろうと。

俺はそれを実践し、ハズレが連続で出まくるときがあった。

時間も時間だしもうここで最大まで賭けるか。

そう思った俺はそれでルーレットを回した。

倍率は分らないが当たるだろうと。

1倍だと入れたメダルが戻ってくるだけだが・・・。

すると、ルーレットは100倍のところで止まった。

その瞬間須藤は声を上げた。


「なんで~なんでなの~!!」


今まで手に持ってたメダルが、持ちきれなくなってしまった。

これは今日中に使い切ることは無理なので、メダルは店に預かってもらうことにした。

2人が帰るころには日が暮れようとしていた。


「たまにはこんなに遊ぶのもありだな」


「おう、ずっと勉強なんてやってられないからな」


とりあえず。


「須藤は、賭け事やめといたほうがいいな!」


「なんでだよ!今回は遊びだったから俺の力が発揮できなかっただけだ!本番だったら大当たりよ!!」


須藤の未来は真っ暗だ。


勉強するときは本気でするが、遊ぶときは本気で遊ぶのがやはりいい。

遊びで心が満たされるのはいいが、その分お金使っちゃうな。


そして、帰ったら妹の説教が待っているとはこの時は全く思ってもいなかった。

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