幕間

ヤユ「この国の生まれじゃないって……お兄さんってどこ出身? 私と一緒の黒髪黒目だし……なんだかとっても親近感あるけど」

男「黒髪黒目は基本どこでも珍しいが……俺は大陸じゃなくて、ここからもっと東の島国出身だ。そこを出て、こうして世界を好き勝手に歩いてる……」

ヤユ「えー……寂しくならないの? たまに帰りたくならないの?」

男「なるさ。なる時もある……とはいっても――」

ヤユ「とはいっても?」

男「その国はもうなくなったんだよ、もうどこにもない」

ヤユ「え……なんで? どうして?」

男「国名が変わったんだ、王様の気まぐれでね」

ヤユ「へ、へ~! そ、そんなことあるんだ……!(感心) あ、お兄さん、そろそろ休憩にしよっか! 私水汲んでくるね!」

男「じゃあ俺は配膳しながら待っておく」

ヤユ「うん!」

男「…………」

男「まあ、国名が変わったというのは、嘘だけどな……」


俺の国は、ただ普通に滅ぼされた、それだけの話だ。






**


・呪い

この世界が編まれた時から存在する、不条理な力の流れだ。

人智を超えた現象を容易く引き起こし、それはあらゆる生き物に望まぬ影響を及ぼし続ける。

人が操れない巨大な悪意そのもの、と言ったところだろうか……

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