Numbers(ナンバーズ)

矢野 優希

おでん屋の屋台

第1話

ーおでん屋の屋台ー



おでん屋の店主

「仁さん!お待たせ、こんにゃくだよ」


「おう、うまそ〜。

 いただきま〜す!

 うん、うめ〜な〜!!

 で、カマクラ俺に話したい事って何よ?」


カマクラ

「そうっすよ。

 

 仁さん、聞いてくださいよ〜」


「えっ、どうしたのよカマクラ?」


カマクラ

「いやね〜最近まで付き合ってた彼女とついこの間、別れちゃったんすよ〜」


「そりゃあ難儀なこった、まあ人生一度や二度の失恋はあるもんさ…。おっちゃん、がんもちょうだい!」


おでん屋の店主

「あいよ!がんも一丁!」


カマクラ

「えっ?じゃあ仁さんは恋とか失恋した事あるんすか?」


「えっ?あっ、そりゃあ俺だって色々となぁ…まあキャバクラとかちょっとエッチな店とか色々だな…それもほぼ上司とか先輩の付き合いだけど…」


カマクラ

「へぇ…。

…えっ。じゃあ仁さん、そういう恋みたいなの経験した事ないんすか?一度 も?エッチも?」


「いや…エッチは無いが…中退した高校で恋をだな…」


カマクラ

「おっ!マジっすか!じゃあその子と付き合ったとか!?」


おでん屋の店主

「はい仁さん、がんもひとつ。」


仁さん

「おっちゃん、ありがとな。」


おでん屋の店主

「いえいえ…」


「いや…その子に片思いをしてだな…」


カマクラ

「マジすか、結局ないんすね…」


おでん屋の店主

「…」


「いや!俺だって人生色々あったんだぞ!今までだって…」


カマクラ

「今までだって?」


「その…色々だ」


カマクラ

「その色々が聞きたいんすよ!俺は!」


おでん屋の店主

「カマクラ君、ナルトひとつね」


カマクラ

「…どうも」


「あぁ!?そりゃあ言葉で説明すると色々って言っちゃうだろ!!じゃあお前はあれか!?自分の人生事細かに説明するのか!?」


カマクラ

「別に説明って言ったって全部言う必要ないじゃないっすか!!そこはかいつまんで面白いエピソードとか衝撃的なエピソードを言えばいいじゃないっすか!要領悪いんすよ!仁さんは!!」


「それは…」


カマクラ

「というかさっきから仁さんはでも…とかそれは…とか言い訳ばっかりで」


「カマクラ…お前…」


おでん屋の店主

「カマクラ君、それ以上はやめといた方が…」


カマクラ

「いや!これ以上はこのだらしないおっさんに言うべきっすよ!!もー!我慢ならねぇ!!上下関係とかこの際どーでもいい!!」


「だらしないおっさん…」


おでん屋の店主

「んー…しぶいねぇ」


カマクラ

「仁さんは!」


「カマクラ…それ以上は」


カマクラ

「大人としての自覚が」


「もう…」


カマクラ

「無いんすよ!!!」


「〜〜〜!!!」


「ああ……そんなぁ…!」


おでん屋の店主

「あちゃ〜、クリーンヒット…!」


カマクラ

「あれ…、今のは言い過ぎたかな…?」


「ううっ、そこまで言う必要ないじゃん…」


おでん屋の店主

「さすがに今のはねぇ…」


カマクラ

「あっ…すみません……」


「流石に今のはさぁ!デリカシーがなさすぎると思うよ!!」


カマクラ

「あっ!すみません、今のは俺の責任です。反省するので…」


おでん屋の店主

「仁さん、はんぺん1枚付けとくから…これで元気出して…」


「おっ、いいんですか!?やったー!!」


カマクラ

「まったく、仁さんは調子いいんだから…」


「いや、元はと言えばお前がな〜!!」



『こんな事を話してる俺らには秘密がある。別に隠してる訳でもないのだが俺たちは』



カマクラ

「いや、仁さんにだって非はあるっすよ、だってこの間もね!」


「いや、お前…おれだけ言ったのにまだ言うのか…まあ、しょうがねぇなお前はお前だし。」


カマクラ

「おっ、流石仁さんっすね!俺が見込んだだけの事はあるっすよ。」


「いや、お前なぁ〜、はぁ。」




『俺たちは殺し屋だ。人を何人も、何人も殺してそれで生計を立てている犯罪者。』


『殺し屋稼業組織 通称Numbers(ナンバーズ)』



「しょうがねぇお前にもはんぺんを1枚つけてやるか」


カマクラ

「おっ、ラッキー!ありがとうございます!!」



『それが俺達だ』




















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