1-08「理不尽に婚約破棄されたら、王族直系の大貴族に嫁入りすることになりました。」本文感想
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【本文感想】
大変良かったですね。滑らかな滑り出しを描いた本作は主人公であるマティマナとその婚約者ルードランのキャラクター性にスポットが当てられています。ストーリーの大まかな動線としてはあらすじ上段でも示されているような簡単で、驚きの少ない話運びをしましたが、魅力は精神性に秘められている。貴族として相応しくないという理由から伏せられていた雑用魔法をどうしても使ってしまう世話焼きや善性、事をよく見る人なのだと分かるマティマナの人物紹介に、ルードランは非常にヒーロー的な立ち回りをする。あらすじで見えていなかったルードランの人物像が掘り下げられたことで、期待に応えてもらえたという印象もあります。確実に味方であり、マティマナに対して(思惑を持っているにせよ)裏切らない人物であろうと確信するような部分がありました。
婚約破棄としての導入上、元婚約者の存在がマティマナに対しての敵として現れます。この男は裏切り続けた上、マティマナへの非難を続けました。結果として大きなさざなみが立つようになり、マティマナの今後は逆境になっていきます。そんななかでいくつか含蓄ある物言いを見せマティマナを選んだことに何かしらの狙いや思惑があると思われるルードランは、振る舞いだけなら警戒したくなる部分も実際のところあるのですが、展開そのものがまるで追い風のようになっているようで、非常に「ヒーロー」然として見えてしまうのですね。
マティマナに対して障害になるわけがない。
そのような信頼感が感じられる書き出しとなっており、出会いのシーンに終始した本作品は読者に期待を抱かせる作風になっていました。
すごく綺麗でした。マティマナの精神性は本当に魅力的で、大人びている面もあり、主役としてはあまり能動的でない気質を感じる部分もありますが、それもルードランとの掛け算を感じさせる組み合わせです。あらすじ下段でも示されるように巻き込まれていくストーリーながら、一本の木の幹のように落ち着いた様子のある主人公が堅実に認められていく様があるのだろうと思わせるのです。また、花嫁修行、と称される通り、どこか苦戦してしまうようなお茶目な一面が見れるならより可愛らしく思えてしまうような女性像で、もしも連載が続くのであれば成長する様子を見たいと思わせる、それくらいに好ましい人物造形だと思いました。
【気になった点】
そんな本作ですが、強烈なインパクトがあったか、と言われるとやや劣ってしまう部分もございました。予定調和で描かれた世界観はマティマナ自身のリアクションが抑え気味なのもあって印象に残りにくく、ザクレスやルードランの立ち回りにあってもある程度先読みできる範囲に書き出しが纏まっています。これも、マティマナの魅力にも繋がっているので判断が難しいところですが淡々とした表現があり、そもそもの作風としても驚きやスピード感を求めた作品ではないのだろうと思うのですが、やはり書き出し祭りという場においては少し懸念してしまうところですね。するすると読むことが出来、引き込み力は抜群だと思いますので、物語の終わりまでを通しで読ませるか要所に読者の心を掴むような強めの描写をおいてみてもいいのかもしれません。とはいえ、連載が行われ、ライセル家への課題や花嫁修行が始まっていけば自然と追いたくなる気はしますね。
貴族の世界観・雰囲気を味わえる作品で、期待の持てる作品でございました。
ご依頼ありがとうございました!!
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