第6話 まさかの出来事

 本当は閉館時間が終わってから20分間、本を戻す時間を設けているので、今やる必要はないのだが、小塚君が女の子と楽しそうに話しているのも見るのは嫌だし…いいよね。


 意外に返却が多い。これは返すのに時間がかかりそうだ。しばらくするとチャイムがなり閉館時間になった。扉が閉まる音がする。あの子も帰ったのかな。急いでやって部室掃除しに行かないと。


「森川どこ?」


 小塚君の声が聞こえた。


「2列目の奥にいるよ。」


 そう答えると小塚君が顔を出した。


「案外近くにいたね。」


 ちょうど背伸びをして本を戻そうとしていた。無理だと諦めて脚立に行こうとした時に目の前に小塚君が立ち、

「乗らなくても俺が届くからかして。」本を渡すといとも簡単に棚に入れた。


「ありがとう。」


「何でさっきいなくなったの?」


「戻す本が溜まってたから、早く部活に行きたいし。」


「ふーん。ねえ、最近部活でよく目があう気がしない?」


「そ、そうかな。」


「俺の考えだと、よく見るのは俺を意識しているって事もあるよね。」


 何が言いたいんだろう。私が小塚君の事を好きだってバレているのだろうか?でも誰にも言ってないし。


「そうなの?よく分からないな。早く本を戻さないと。」


 慌てて行こうとしたら腕を掴まれた。焦って本を落としてしまった。


「あっ。あの小塚君なんか今日変だよ。」


 拾おうとしたが腕を離してくれない。じっとこちらを見ている。目を見られない。何だろう…私何か気に触ることしたかな?


「何でこっち見ないの?」


「そんなことないよ。ただなんか恥ずかしいよ。近いし。」


「じゃあ目を見たら離す。」


 仕方なく顔を向けると目が合う。近い…近い…恥ずかしい。また目を逸らしてしまった。


「ほらやっぱり。避けてるじゃん。」


「違う、これは…。」


「俺の事、意識してるって事?」


「いや、違う。男の人慣れてないから。もうお願い離して。」


「俺は森川の事好きなんだけど。」


「え!」


「だからずっと避けられてたのが嫌だった。」


「嘘。」


「何で嘘なんかつく必要あるんだよ。」


「からかってるとか。」


「何で?そんなひどい男に見える?」


「だって信じられなくて。私、何にも取り柄とかないし。」


「そう?メガネとっていい?」


 メガネを外すと可愛い森川が出てきた。


「ねえ、縛ってる髪もおろして。」


 戸惑っていたら小塚君に髪を解かれてしまった。


「やばい、ちょー可愛い。」


「そんな事ない。」


「ねえ、俺の事好きでしょ。」


 森川はうなずいた。


「やった!やっぱり間違いじゃなかった。これで違うって言われたら俺、めちゃめちゃただの自信過剰な奴だね。」


「え、でも本当に私を好きなの?」


「そう言ってんじゃん。」


 信じられなかったが、小塚君が嬉しそうな顔をしているのでそうなんだと実感した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る