十五話 吹っ飛べ!

 たった一言託して、Bは右腕にすべての力を注いだ。腕全体が破裂してしまいそうなほどに膨れ上がる。


 い、いってぇ! ごめんな、本体! でもこうしねえと、あいつを送れねぇ!


 蓄えた右腕で武鉄に殴りかかる。その光の如く放たれたパンチは武鉄の胴体にクリーンヒットする。拳に耐え切れず、武鉄は吹っ飛んだ。


「んぐっ! おのれ人間がぁ!」


 武鉄はハンマーを手から離し、衝撃を何とか抑える。その途中で兵士を数人巻き添えにしながら、Bとナナの時と同じほどまで飛ばされ、地を削った。


「す、すごい……」


 圧巻されるナナ。Bはその目を覚まさせた。


「何してんだ! 早くいけ!」


「あ、そ、そうだった! でもB! 右腕がっ!」


「言っただろ! 何があっても振り返るなって! 早く行け! おめえも吹っ飛ばすぞ!」


「……! ごめん、ありがとうB!」


 ナナはBに背を向け香花の元へと走った。決して速くはない足で、大きくない身体で。


「……へっ、礼は助けてから言えよな……」


 ぐったりとその場に座り込むB。右腕はぶらんと動かすことすらできずにぶら下がっている。


「本体にゃあ……悪いことしちまったなぁ……あの手応えからしても……武鉄ってやつはきっと――」


「うおおおおおおお!」


 言葉にした時にはもう遅かった。武鉄は叫びながらB目掛けて駆け付けた。そのドドドドドドドドドッ! という足音はまるで機関車のようだった。


「もう許さんぞ、人間! 殺す殺す殺す殺す!」


 ハンマーを置いたまま、武鉄はBへと拳を振りかざした。


「来いよ、デカ物。俺は簡単にはくたばらねえぞ。約束ができちまったからなぁ!」

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