第4話 叔父さんの友達の……
腹ごしらえを済ませたアリシアとリコッタは森の中をウロウロして狩りをしていた。
手に入らないと思っていたジビエ系の肉はリコッタの案内のおかげで難無くゲット。
「へぇ、上手いもんだな。昔から狩りをしてたのか?」
「ううん、初めてだよ。筋力値とかも見えるから動きが予測出来るだけ。リコちゃんこそ、よくジビエの隠れ住んでる場所知ってたね」
「ここはオイラの庭みたいもんだからな。オイラの叔父さんの友達の息子の友達の親父の従兄弟の飼ってた犬の親戚の飼い主の叔母さんの親戚のベヒーモスの亜種がこの森の主をしてるから。駆け出しの軍人時代によくサバイバルの練習をしに来させて貰ってたんだ」
「叔父さんの友達の……何だっけ? よく分からないけど、庭なんだね」
「そういう事だ。それはさておき、肉も手に入れたから店に帰るか?」
「ん〜」
「まだ足りないのか?」
「足りなくはないけど、ちょっとインパクトが無いなーって思って」
「インパクトねぇ……これ以上はオイラも知らないから主に聞きに行くか?」
「うん!」
リコッタの先導のもと、アリシアは森の中枢まで足を踏み入れる。
周辺にはモンスターの気配は無く、濃い緑の香りと妙に重い空気感に包まれる。
いかにも主が近くに居る感じだ。
知り合いであるリコッタが平然としているのは当たり前だが、何故かアリシアはリコッタ以上に平然としているどころか鼻歌を口ずさみ、まるでピクニック気分でいた。
暫くしてリコッタが立ち止まり辺りを見回す。
「確かこの辺に居るはず――あっ! 居た居た! おーい……」
リコッタが主を見つけて声をかけながら歩み寄って行った瞬間、
「ぎゃおぉぉおおぉぉ……」
主は大きな断末魔をあげてその場へ力無く倒れた。
「何ごと!?」
リコッタが驚いて固まっていると、倒れた主の陰からさっきまで一緒に歩いていたはずのアリシアが血塗れの牛刀を手に持って現れた。
「ふぅ〜。大量のお肉ゲット!」
主が倒れたのはアリシアの牛刀攻撃によるものだった。
背後から何度も刺されて致命傷になったのだ。
「『お肉ゲット!』じゃねぇよ! オイラの叔父さんの……あれ? 叔母さんだっけ? ……兎も角、オイラの知り合いっぽい人――じゃなかった、モンスターを殺って何でウキウキしてんだよ」
「これが主だったの? ごめんごめん。結構いいお肉だったから、つい」
「『つい』って……ちなみに等級は?」
「切ってみないと正確には分からないけど、目視と刺した感じではシア等級B5かな」
「B5って高いのか?」
「C1からS5まであるんだけど、B5は高い方だよ。今日、ゲットしたお肉の中では1番!」
「今日1番か……ま、それならいいか。これで終わりにして、処理しようか」
「うん! じゃ、私は主の処理をするから、他のお肉をリコちゃんにお願いするね」
「任せとけ」
全ての処理が終わったのは16時頃。
空はまだ明るいが森の中は暗くなってきていた。
「何キロくらいになった?」
「シカ20、イノシシ30、ウサギ15だな。アリシアは?」
「ジビエはリコちゃんと同じくらいで、主を合わせると300キロくらいかなー」
「皮とかも売るとして、約400キロか。さすがに持って運ぶとなると走れないから、今日は運ぶのをやめとくか? あと1時間もすれば、かなり暗くなって危ないから」
「どれくらい減ったら走って今日中に帰れる?」
「100キロ減ったらいけるぞ」
「なら、私が100キロ持つね」
「アリシアが!? 大丈夫か?」
「へーき、へーき! だから、早くお店に帰ろ?」
「……ああ、アリシアがそう言うなら」
持つものを分けて背中に担いで2人は駆け足で森を抜けて店まで帰った。
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