やっぱ馴れ初めは気になるよな2

「使えねえなあ!!」

場所はダンジョン低階層の数ある通路の一つの一角、男2女2のパーティにより異世界モノにて死ぬほど擦られてる光景が展開されていた。

「お前何回ミスするんだよ!」

「すいません」

「魔法も出来なければ荷物持ちも出来ねえのかよ」

「すいません」

「パーティ組んでるだけありがたいと思えよ?他のとこだったどこもお払い箱だぞ」

「ありがとうございます」

男はこう言っているが彼女に与えている賃金は相場の十分の一にも満たず、このパーティのストレス発散兼雑用、端的に言えば奴隷として扱っているだけにすぎない。

ならば彼女がパーティを抜ければいい話であるが彼女は冒険などとは無縁な所で育ったが故のそこらに対する常識の無さ、また自分の無能さに対する自責の念によって辞められずにいた。

「そこらにしときなよwマー君。クズに何言ったって変わんないんだからw」

「そうだぞwまた前みたく泣いちまうんじゃねえかw」

こっからは書くのがたるいので省略するがあのありがちでやけにリアリティがあるイジメ描写によるキモいノリが延々と続けられていたその時


ズゴォォーン


「「「なんだ!?」」」

「......」


突如ダンジョンの壁を破壊しながら姿を表したのは、冒険者の憧れであり災厄の名を冠する“竜”であった



同時刻、同じダンジョン内にて


「ん、今揺れなかったか?」

「あぁ?揺れただぁ?」

「今確かに揺れた気がするんだけど」

静かなダンジョンを2人連れ立って歩いていた男の片割れが急に騒ぎ出す

「地震とかじゃねえの?てかお前、んなことよりも気にすることがあるだろうがよぉ、カイさんよぉ?」

「お前の彼女2が浮気に気づいたことか?」

「ちげえよっ!!えってか待って、アイツ気づいてたの!?」

「あぁ、今朝ダンジョン入る前に会ってな、グラに話があると伝えておいてくれ、と」

「やっべえ...他には何か言ってたか?」

「多分関係ないんだが...確か、この後砥石を買いに行かなきゃ、とも言っていたな。ん?おいどうした、夏でもないのに滝のように汗を流して」

言葉通りグラは額に汗を浮かべきている装備をぐっしょりと濡らしていた。しかし今はそんなことは重要じゃないとさらに騒ぐ

「うるせえっ!ってか今はこんな話をしてる場合じゃねえんだよ!稼ぎの話っ!か・せ・ぎ!!今週全然だから今日こそはつってこんないつもより深い場所まで潜ってきてるんだろ!?」

「あぁ、そうだったな。でも情報じゃここまでモンスターに遭遇しないとはなかったんだが...」

「しっかりしてくれよお、今日も稼ぎなしだったらいよいよ家の霞を食う羽目になる...」

「ふっ、任せてくれ俺もおんなじだ」

「尚更なんでそんな余裕こいてんだよっ!?」

てんやわんや駄弁りながら歩いているがその間もモンスターと遭遇する気配はなくあたりは静まり返っており、自分らの話す声が時折反響して聞こえてくるだけだった

「なんか気味悪くねえか?モンスター一体も居ねえっつうのは」

「あぁ、俺もそう思う。何体も出てこいっつう訳じゃないがここまで出ないのは”異常”だ」

カイの言った通りモンスターが一体も出ないというのは異常である。ダンジョンにおいてモンスターとはレストエリア等のイレギュラーを除いて基本どの層にもいるものであり、層が深くなるにつれてモンスターの強度・遭遇する頻度は上がって行くものである。

「こんだけ静かだと気味が悪いな」

「俺たちゃとうとうダンジョンに嫌われちまったのか?モンスター一匹出てこねえってこたぁよ」

「そうかもなあ」

「今日はもう一旦帰るか?こんなんなら日雇いのバイトでもしてた方がまだ稼げるぞ」

「そうしてもいいかもしれんな」

そんなことを話していると奥の方から人とモンスターが戦っているかのような音が聞こえてくる。

「ん?これどっかのパーティが戦ってるのか?」

「多分それっぽいな、ちょっくらハイエナでもしに行くか?」

「乗った」

そうして二人は音のする方へと近づいていくが、近づくにつれ分かるのは響いていた音は戦っているのではなくまるでナニカから逃げるための音かのようだったということだった。

そうして二人が角を曲がり目にしたのは凄惨な光景であった。

まず目に映ったのが壁に叩きつけられ性別すらわからない剣士であったであろう肉塊とそこから少し離れたところで倒れている魔法使い、目をあげて部屋全体を見回すと巨大な傷だらけでそこで暴れていたナニカがとてつもなく大きいことが分かる。だがそこに傷をつけた張本人と戦っていたであろうパーティの姿はなく部屋から続いている通路から時折音が聞こえるだけであった

二人はまだ息があるであろう魔法使いの元へ駆け寄りながら声をかける

「おい何があった!」

「まだ生きてるか!」

カイが魔法使いを抱き起こし安否を確認する

「生きてはいるがどこかしら骨をやっているかもな。ジン、ポーションはあるか?」

「あるにはあるが、このレベルの怪我には効くか怪しいぞ?」

「ないよりはマシだろ、よしっ手当は任せた。俺はこの傷が続く先を確認してくる」

「了解した。戻ってくるまでに手当は終わらせておく」

二人が行動に移ろうとした時それまで気を失っていた魔法使いの少女が目を覚ます

「こ、ここは」

「残念なことにダンジョンだ、あんたここで倒れてたんだぞ一体何があった?」

「パーティの人たちと歩いていたら突然目の前に火の玉が飛んできてそっから記憶が...」

「「火の玉?」」

男二人の声がハモる

火の玉が吐けて部屋中にこんな傷を残せるモンスターなんて二人は一体しか思いつかないがあり得なさすぎてそう易々と信じることができない

「いやーそんなまさかなあ、なあカイ?」

「あぁこんな低階層にいるわけがねえよなグラ?」

「二人してさっきからないをそんなぶつぶつ言っているのですか?気味が悪いです」

「「うるせぇ!!現実から目を逸らすのに必死なんだよ!!」

そうこう話していると傷が続いている通路の先からズシン、ズシンと傷をつけたであろう主の足音が響いてくる、そして次の瞬間姿を現したのは10mはあろう巨体の竜であった。

「「マジかよ」」

「マジですか」

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