第38巻(家に空里ちゃん)

 家に空里ちゃん、遊びに来た。

「うわ~!ミクちゃん、ひさしぶり~」

「あっ!空里ちゃん!キンモク星へ、ようこそ!」


「ほんとに金木犀の香りただよってるね〜!」

「そうでしょ〜」


「あやめっちも、ひさしぶり~」

「ほんまやわ!」


「ナオミンも、ひさしぶり~」

「空里ちゃん、こんにちは~」


「空里、今、何してんの?」

「オッキナワン島で、アートの製作と教育をやってる!」

「あっ!そうなんや!ちゃんとやってるんやな!」

「うんっ!なんとなく、今日はミクちゃんと会いたくなってな」


「やったあ!めっちゃ嬉しいな〜」

 それから、わたしの部屋で、空里ちゃんといっしょに過ごしていた。

「ミクちゃん、今、何年生やったっけ?」

「4年生だよ~」

「4年生ってことは...9才か...」

「そうだよ~9才だよ~」


「いや~、オッキナワン島にいてもなっ、なんとなく、この家の、この部屋のこと、気になってな...」

「えーっ?オッキナワン島にいるのに~?」

「そうやねん」

「なんで?」

「えっ?」

「なんでなん?」


「そやな~、なんか、アートっぽい雰囲気を感じるからなんやろか...」

「アートっぽい雰囲気を感じるの?」

「うん」

「ミクの部屋に?」

「そうやねん...」

「へぇー!そうなんや」


「今日、ミクちゃんの部屋で、いっしょに寝てもいい?」

「いいよ~!」


 夜、空里ちゃんといっしょに寝てた。

 おふとんを並べて。

 なんとなく、わたし、空里ちゃんのこと好き。


「あっ!何か感じるよっ!」

って、空里ちゃんは声を出した。


「えーっ?何か感じるのーっ?」

 わたしは、なんとなく、いつもと同じような感じしかしなかった。


 空里ちゃんは

「めっちゃあたたかい空気!」

って言っている。


「めっちゃあたたかい空気?」

って、空里ちゃんに聞いてみた。


「うんっ!それと、めっちゃ優しい空気!」

「めっちゃ優しい空気?」

「うんっ!めっちゃあたたかな空気と、めっちゃ優しい空気に、この部屋は、包まれている...」

「ほんま?」

「ほんまほんま...」


「昔の誰かに愛されてるような...」

って、空里ちゃんは言ってる。

「ずっと昔の時代から、この部屋は、誰かにめっちゃ愛されているような...そんな感じするわっ!」


「そうなの?」

 わたしには、空里ちゃんほど、はっきりとはわからない。

 ただ、なんとなくだけど、やっぱり空里ちゃんの感じているようなことも、わかる気もしていた。


 部屋にミコ入ってきた。

「あーっ!ミコちゃんー!」

「空里ちゃん、こんばんはー」

「こんばんはー」

「空里ちゃん来たから、お歌の女の子、めっちゃ嬉しそう」

「えっ?そうなのー?」

「めっちゃ喜んで、お歌を歌ってる」



 「ミコちゃんには、その女の子、見えるの?」

って、空里ちゃんはミコに聞いてる。


 「見えるよ〜。お歌を歌ってる可愛い女の子で、きれいなお着物、着てるよ」

 「すごいね〜。ミコちゃん」


 「そのうち空里ちゃんにも見えるんじゃないかな〜」

 「ほんと?」


 「うんっ、ミクっちには見えないかもな〜」

 「なんでだよ〜」

わたしには、なんで見えないの〜?


 「じゃあ、うちはお部屋に戻るね〜」

ミコは、自分の部屋に戻った。


 ✩


 「わたし、この部屋にいると、めっちゃ絵を描きたくなってくるんだよね」

って空里ちゃんに言って、それからスケッチブックを広げて、わたしは絵を描きはじめる。


 「うちも、なんだか描きたくなってくるわ〜」

って空里ちゃんも言うから、新しいスケッチブックを空里ちゃんに渡した。

 空里ちゃんも、なにやら絵を描いてる。


 チラッと空里ちゃんの描いてる絵を見てみたら

なんと!海で泳いでる絵を描いてる。

 空里ちゃんは、絵でも泳いでるとこ描くくらい

泳ぐの好きなんだな〜。


 「オッキナワン島の海だよ〜」

って、空里ちゃん言ってる。

 「ミクっち、オッキナワン島には行ったこと、ある〜?」


 「まだないよ〜」

 「そっか、いつか、そのうち、ミクっちもオッキナワン島に行けるといいね」


 「そうだね〜」

 「あ、なんか、ミクっち、オッキナワン島に行く気するよ」


 「えーっ?ほんとにー?」

 「うんっ、なんだか、オッキナワン島で泳いでるミクっちの映像、今なぜかフッと見えてきたわっ!」


 「えーっ、スゴイねー」

 「ね〜、なんでだろうね〜」

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