クレーンデスキマイラの謎

サーキュレーター

プロローグ

20XX年、日本――


それは、とあるゲームのテストプレイの風景であった。


テストプレイヤーである中年男性、中肉中背40代が一人、密室にいた。


この部屋は当然、モニタリングされている。


今、テストプレイヤーはモニターの前に座り、熱心にゲームをプレイしている。


格闘ゲーム?レースゲーム?シューティング?


どれも違った。


それは巨大なクレーンゲームだった。


画面に映し出されているのは、大きな箱。

クレーンゲームの景品を大きくしたそれは、2本の棒の間に置かれている。


男は緊張した表情で恐る恐るアームを操作……。


アームが開き……降下……、アームが箱を掴みことで位置をズラし、棒の間落とそうとするが……


失敗した。


アームが棒に引っかかり、狙いがズレる。移動が浅すぎのだ。


「あっ!今のは違う!ほとんど成功だったろ!」


男は狼狽えながら、アピールする。


それは、何のアピールか?


命乞いだ。


だが、そんなアピールは通用しない。彼は『命』である残高を使い果たしてしまったのだから。


キィィィーーーーン


突然、部屋の壁から強い高周波が発生する、それと同時に、異変が起こる。


男が頭を押さえもがき苦しみ出した。


ガリガリガリッガリガリッ!


頭皮をかきむしる様にして、男は苦しんでいたが、ついにはバランスを崩してイスから転げ落ち、最後は床で痙攣して……果てた。

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