第1話 黒木淘汰と重機オークション


――黒木淘汰のゲーム企画のすべてより抜粋


世界には間違った考えというものがある。


偏食を推奨するダイエット、睡眠時間を無視した勉強法、子どもの気持ちを無視した子育て法!


どれもダメだ!反吐が出る!ウェッ!


そんな反吐が出る猛言の一つで、我々、ゲームクリエイターにとって一番ダメなものが、


「誰も思い付いたことの無い、斬新なゲームは面白いんだ!」


……という考えだ。「全く新しいアイデア」とか「シリーズを一新」とか、そういうものも含まれる。


これは、ハッキリ言って間違いなのだ!


なぜなら、誰も思い付かないアイデアということは、他者には理解されないことなのだから。


……え?よく分からないって?しかたがないな、今度、私がそれを証明してあげよう。


注意

黒木淘汰氏の個人的意見です。



――抜粋終わり



唐突だが、このゲームクリエイター黒木淘汰という人物を覚えておいて欲しい。



ついでに、次の話も。






――N県、山間部のオークション会場


そこは重機のオークション会場だった。


日本製の重機は世界で人気がある、特にパーツが豊富な中古。


オークション会場はいつも盛況であったが、この日、来場していた新興国の外国人たちは、唖然としている。


その日、競られるはずであった重機が全て無くなっていたからだ。


会場は大混乱、この事件は地方新聞に載ったが、全国では、ほとんど話題にならなかった。


数か月後、この事件に巻き込まれる女子大生が同県にいた、私、難波サキである。


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