エピローグ
今回のオチというか結末。
駆けつけてきた猫族の聖騎士——ルナードは聖女ドーレのことを無断で拉致監禁した罪により、ホーロビール王国の王子——ヤサーシソ・ホーロビールをしょっぴいた。
元々放蕩王子を快く思っていなかったのだろう。
ホーロビール現国王は、マリアリア教会への抗議の声を上げることもなく、マリアリア教会による審問が執行された。
今頃は、マリアリア教会だけでなく、グリーズ王国の暗部からも取り調べを受けているかもしれない。
まあ、いずれにしてもあの放蕩王子は今後表の世界に顔を出すことはできないだろう。
そして現在、俺はというと歌姫ファンセから聞き出した師匠の手がかりをもとにツヅーキの街を訪れていた。
「タシュ・ソレドという男に心当たりはありませんか?」
「うーん、ごめんなさいねー。わからないわ」
「そうですか……ありがとうございました」
やはり……すでに師匠はツヅーキの街にいない。
ファンセが師匠と出会ったという宿に行ったが、受付嬢に聞いても全く手掛かりの一つも残していなかった。
結局、師匠は何のために姿を消しているのか分からずじまいか……。
いや、もしかして——俺のような孤児を実験体として集めていたあの厄介な研究機関の残党を狩っているのか……?
だからこそ師匠は、俺と同じ系列の孤児院出身のファンセにも近づいたとか?
そんなことを考えながら、路地裏を歩いていると——
「あら、奇遇ね?」
「こんなところで何をしているんだよ……歌姫」
「ふふ、探したのよ。ジョン」
ローブの奥からエメラルドグリーンの瞳が覗いている。
……何か嫌な予感がする。
「何の用だよ?」
「私、劇団やめてきたの」
「へー。それは重畳なことだな。じゃあ俺は急いでいるんで——」
「だから!私をあなたの画廊で雇いなさいっ!」
ビシッと色白い指を俺に向けて、そう宣言した。
……勘弁してくれ。
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