第8話 自らの信念は貫き通せ。(※ただし例外あり。)
「起立。礼」
『ありがとうございました。』
「あじゃじゃす…」
はい。あの事件から約3日が経ちました。
その間事件に巻き込まれた俺は、入院しました。
一応頭を打って脳震盪に(なった体)ね。即退院したけど。でも親からせめて3日は休めって言われた。まええんやけど。合法的に学校を休めるならそれはソレでゲフンゲフン。
暇な時間はえんえんと、オルとスパークリング。もちろん現実世界でやったらO☆W☆A☆R☆Iなので、オルの力で、思念世界で暴れ回ってやりました。
まぁそういう名目の鍛錬期間だね。俺としても、今の力量を正確に測るっていうんで大分有意義な時間だった。
一番有意義だったのはオルの方だったろうけどな…。あいつ俺に触発されて体動かしたくなったとかいってすーぐあんなことやこんなコト(第7話参照)するんだもん。
お陰でこちとら脳震盪よりもエグい致命傷塗れになりかけたわ。
こらそこ。浮いてる浮遊霊。口笛吹かない。
ん?言い訳?お前が異世界にいる間私を閉じ込めてたのが悪い…?
知るか。オメェの力が強すぎんのが問題だろが。贅沢な事言うんじゃねっ。
柳さん(さっきの時間に急に話しかけてきた隣の女子。やまびこやるノリで話しかけて来てびっくりした。突然笑い始めてもっとびっくりした。)も無事怪我なく登校できてハッピー。ついでに事件についての面倒な質問攻めも柳さんバリアで回避。ハッピー。
でも休み時間の度に…
「はぁ…やっぱいつ見ても癒やされますわ…『救命ロリ』…疲れたときの特効薬よ!ありがたや〜」
「ねぇねぇ!〇〇先生が『救命ロリ』のファンアート書いてるッ!」
「どれどれ…あ゛〜神。優勝。他にもいっぱい書いてる人もいるけどやっぱこの人が天才。」
「おいw『救命ロリ』のMMD作ってるやついるんだけどw」
「マジ?!う〜わリアル感ヤ~バ…!職人バケモンかよ(最高級褒め言葉並感)」
「SNSえぐすぎだなぁ。こんなにSNS映え狙う小学校低学年の奴がいるわけないのにさぁ。『救命ロリ』公式こねぇかなぁ…」
「ほんんんんと偽アカ多すぎ。でも3日経ってるのに誰も何も発表出さないのは事務所とかのタレントとかじゃないのは確定だよね〜」
「…」
『…』
とまぁこんな感じで自分のことが広まりすぎているのです。
SAN値がマイナス超えそうです。
アンハッピー。
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「俺やめよかな…」
『メンタルざっこ。』
四時間目が終わって屋上。いつもどおりのぼっち飯。自分で作った弁当って、なんか特別感あるよね。そのせいで美味しい。
いつもよりも美味しく感じるのは決して現実逃避したくて弁当のハンバーグが舌に包みこまれていく感触に身を任せているからとかそういうわけではない。
ない。
「ここまで広がるとは…ここまで広がるとはぁ…」
『いやぁ〜でも私も舐めてたわ。あんだけ情報手段が整ってる世界だとは思わなんだぁ。』
いやぁ〜今日はしっかり晴れて快晴ですな。
お陰で景色がよく見える…
『ええかげん現実逃避やめてもろて。』
「へいへい。でもやだよ〜…こんな状態でまたアイツらと戦うのはさぁ。」
はぁ〜、いやさ?確かに名前も、正体も、出自も、誰も何も知らない義賊になってヒャッホイとは思ってたんだけどさ?
なんんんんでこうもハイになると俺ってば駄目なんだろ…
ほんでなんんんんんんんんんんんであの『変身魔法』の術式を選んだんだ…?
『『さて…図らずしてヒーローになる瞬間が来たわけだけど…どうすんの。そのまんま助ける訳にもいかんでしょ。』
「その通りではある。だから…はぁ…しょうがないけど俺の黒歴史公開するわ。」
『あ…あれ使うの?』
「できれば使いたくなかったよ…まぁいっちばんバレにくい姿ではあるからね。」
…ぶはははははははあははははははははははwwwwwwwww』
「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
やめろッ!真顔で朗読するなッ!そんな感情のない古ぼけた黒スピーカーみてぇにさぁ!!!
しかも周りフヨフヨしながら全方位口撃すんじゃねぇ!ASMRなんざ今回ばかりは望んでねぇわ!!!
『「さ!楽しくなって参りましたよぉ〜!うっほほ〜!」』
「ぬっっぐおあああおあおあおあおあおあおあおあおあお〜!!!!!!」
『うっさ。』
いやほんとマジ何やってんだ俺ぇ…
どうしてその場ののノリでロリになるんだよ…
ノリとロリってなんかゴロが良くてムカつくなチクショウ…
あ。ちなみに、ご飯食べるときは、『消音魔法』をつけることにしました。
こんな感じで一人で喋ってるトコ見られたらやだからね!しんじゃうからね!!
「うっ…うううううっ…俺は一体どうしたら…?」
俺はこのまんま『救命ロリ』で行くのか…?バレなければ良いとは言え、今の情報社会が恐ろしやってことがわかった時点で不安要素その一がでかすぎる!
昨日決意固めたのは、あんま情報が広まらないっていうゼンテイであるもんだからさぁ…こんな爆速拡散されると、ヒーロー仕事にも影響が出るしぃ。
仕草一つで身元特定する変態とか出てきたらどうしよう…
んでそいつがあの『クロズクメ』―あ。さっき考えたあの電車で襲ってきた奴らの総称ね―に狙われて『タスケテー!!』ってなったとき、俺は救えるのか??
それにさぁ…なんとも悪質なのがさぁ…あの『変身魔法』。どういうわけか、魅了効果付与されてるんだよね。作ったの俺だけど。闇がこの体に渦巻きし俺の時代をハサミで切ってやりてぇ…
とにかく!数の暴力怖い!しかも俺のこと見てなにか考え出すのも怖い!
俺のせいで、良くない奴らを引き寄せたり、無害で何も関係ない奴らを全面戦争一歩手前まで持っていくことになったらなおさら怖い!!!
なんもかんも怖すぎる…
でもなぁ。このまま義賊続けてもありなんじゃねとは思う。
モテたいとかはあんまりないんだよ。ただ有名になりたい。ただそれだけ、自分の欲望を果たしてみたいだけ。
それだけのことなら、別に性別なんてどうでも良い気もする。
気に入ってる顔だし…むしろなんか背徳k…
しかもこの魔法、
これ言い訳になるんだけど、明確にロリ衣装にしたかったとかはマジでなくて。マジレスすると、電車衝突未遂事件の時には急すぎて、どこかの誰かさんからの干渉かと思ったから、念には念を入れてこの変身にしたんだよ。魔法妨害耐性が意味分からんレベルでつけてあるこのロリ魔法少女服にさ。
これに約千日もの時間をかけたって考えると、俺が俺自身に鳥肌立てるレベルだけど。
もう、この姿は世間に出ちゃってる。今更変えたってもう遅い。
初めのインパクトって大事。
それに。
いくら俺が道を踏み外して。迷いそうになって。負けそうになって。ストレスで胃が痛くなって。
それでも、そんな状況でも。
俺にはオルがいる。
俺の、俺だけの神様が、なんとかしてくれる。
…多分MAYBE。
「うーん…割とありかもなぁ。」
『ん〜私としてはどっちでも良いからなぁ。』
「そりゃあんたに取っちゃ些細なことだろうけどな」
『良いでしょ。そこら辺テキトーでもあんたのやりたいことやりつくせば良いじゃん。』
「…」
『ま。私は見守っててあげるからさ。どんな姿になろうが、頑張ってみなよ。今度は自分の力で。』
オルってやつはほんとにこのさぁ。
『あと昨日からのロリロリ講座が意味なくなるからね!』
「…」
ほんとにこのさぁ!!
「…分かった。やってやろうじゃぁないの!この私の魅力ぅ!あたぁ〜っぷりとぉ…見せてやろうじゃァないか!」
『よッ!』
とりあえず気合とノリだい!ここまで有名になっちまったんだ!皿を食らわば毒までよ!
この俺が。この私が。正義のヒーローになってやんよ!
んしゃ!この景気づけに一口!ん〜!弁当旨し!
「僕と付き合ってください!」
「…ごめんなさい。」
「ムヴォフォッ?!」
むせた。
柳さん…
『ここから…私の正体不明のめちゃかわ義賊RPの幕開けというわけだッ!!』
「グホォ!!?読めないULTやめろッ!!」
今度からは調子乗らないようにしよ。
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柳さん…ちなみに、今ので3回目。今日のノルマ達成。デイリーミッションにいれとけもう。
あ。この回から補足つけときますね。僕の妄想オンパレードになりそうで怖いので…
異世界
・剣と魔法で戦うよくあるファンタジーの定番の世界。
魔法が主流で使われていて、冒険者の大体七割は魔法使い。
類も、魔法使い。でもその中ではレアな、魔法剣士として、世界に名を馳せた。
まぁそれもオルの神式ご指導のおかげなんですが。
多分異世界のあれこれも多分出てくる。多分…
変身魔法
・厨二病をこじらしすぎた類が編み出した魔法。
一応使えるのは類のみ。
予め、作っておいたアバター的なものに瞬時になれる魔法。
自由度が非常に高く、生物無生物問わず、人間の場合だと、身長体重性別顔つき体つき、なんなら病気や欠損なんかも完全に再現できるぶっ壊れ魔法。
めっちゃ色々悪いことに使えるが、類はコスプレ感覚で使ってる。
頭がくっそ柔らかくないと再現など到底できないが、類はオルのシゴキで手に入れた圧倒的な魔力量と、闇夜のように深く広い想像力(本人談)で、超細かいところまで緻密に表現することができている。
『救命ロリ』が異常に可愛くてバズってるのもそのせい。
変身魔法以外にも、いっぱい類の固有魔法はある。
前の話見たらわかる。見ろ。
異世界無双後のテンプレはスローライフだけど私はそんなことない。 COOLKID @kanadeoshi
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