4.山のいり口

「じゃあ、確かめに行こうか。おおばあちゃんの話を確かめに!!」

百合花が無邪気な笑顔を私たちに向けてそう言った。

「そうだね。おおばあちゃんが亡くなったときにみんなで約束したし」

美紅がそういうと文乃が「行きますか」と言った。

舞歌はみんなの様子を見ながら

「みんなでした約束だしあまり気が乗らないけど行こうか」

と言うと。

「うん、約束だもんね」

夏南はなんとくなく元気がなさそうな返事を返した。

「じゃあ行こう!!みんなで行けば怖くないよ夏南」

百合花は夏南の手を握りながら言った。

夏南はあいまいな笑みを作りながら百合花に

「うん…そうだね…」

と言っていた。

「夏南、大丈夫だよ。私たちも一緒に行くんだから怖くないよ。それに確かめに行くだけなんだから」

美紅が夏南にそういった。

「そうだよ夏南。私だって気乗りしないけどみんなで行くんだし何もないことを祈ろう。本当なのかなんてわからないよ」

舞歌も夏南に目を向けながら言った。

「私は何となく興味があるし、面白そうだし」

文乃はそういうとさっさと歩き出した。

「あ~待ってよ。文ちゃんはすぐ行っちゃうんだから」

百合花は小走りで文乃のところまで行った。

「はあ、全く興味があることには猪突猛進なんだから。夏南、舞歌行こうか。みんなで行けば怖くないよ夏南」

美紅は夏南と舞歌に笑顔で言った。

「そうだね、行こう夏南」

と舞歌が夏南に言うと

「うん…わかった」

夏南は私たちと一緒に歩き出した。

みんなでたわいない話をしながら歩いた。とにかくこれから行くところにあまり気を向かけないように気をつけながら…。とうとう山の入り口に近づいているのがわかると夏南は少し震えだした。

「夏南、大丈夫?」

美紅は夏南を見ながら聞いた。

「ちょっと怖くなってきちゃって。後、なんか寒くなってきたような気がする」

夏南は美紅に向かって答えると

「寒い?私の上着、着る?すこし厚着してきたから」

美紅はそう夏南に言うと夏南は

「美紅ちゃんありがとう。でも大丈夫だと思う。私も厚着はしてるんだけどなんかぶるっとしただけありがとう」

その答えに美紅は

「それならいいけど。本当に寒かったら言ってね」

「うん、ありがとう美紅ちゃん」

2人の会話を聞きながら舞歌もちょっと寒いような気がしていたがまあ気のせいだと思っていた。春先とはいえ日が落ちると途端に寒くなる。祖母にも上着は持って行けと言われていたのだ。まあ、5人とも厚手の上着は着てきていたので損なで寒くはないがきっとこれから行くところに対する恐怖心が寒気を感じているんだろうと舞歌は思っていた。

そしていよいよ山の入り口に近づいてきた。

ぶる…………。

舞歌も夏南もそして美紅も少し震えた。

「さあ、着きました」

百合花が言うと

「じゃ、ちゃっちゃと行きますか」

と文乃が言う。

5人は入り口に立った。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る