第10話『落成式の出来事』

 輝雲の七月真手の十四日——。

 土曜日のこの日、生産修法の仕事は休みだった。

 しかし、同時進行していた最後の倉庫の落成式があり、NWSのリーダーたちも出席していた。

 生命の樹と万世の魔女の夢以来、すっかり有名になってしまったNWSだが、その日常は相変わらずだった。

 ポールが騒ぎになる前にこう言ったのである。

「あの――、俺たちは俺たちの現実に対処しただけで、何ら特別なことはしていません。出来ましたら今回の件は里でそれぞれ議題にしていただき、本の救済とともに魔法の発動を確認していただければと思います」

 後で仲間に、よく咄嗟に思いつく、と言わしめた弁明だった。

 そんなわけで、彼らは今日も童話の里で活動していたのである。

 倉庫の三角屋根に七色の旗が翻る。

 七宮廷国を表す、赤、橙、黄、緑、青、紺、菫の七色だ。

 これらの色は里のカラーでもあった。

 童話の里の西側に5棟建てられた倉庫は、レンガ造りで円筒形に三角錐の緑屋根だった。

 今日は一番西側の倉庫の完成をみんなで祝っている。

 暑苦しさはなく、長老の挨拶が初めにあっただけで、後は作業従事者の慰労も兼ねたパーティーが催されていた。

「やっと終わったな……!」

 そう呟いたのはタイラーである。

 彼はNWSのメンバー28人を率いてきたので、感激もひとしおだった。

「お疲れ」

 マルクが後ろから声をかけた。手にはグラスビールを二つ持っている。

「おう」

 グラスを派手に鳴らして、ビールを呷る。

「土地造成から3か月半か――ずいぶん、工期が早まったんじゃないか?」

 マルクが言うと、タイラーは頷いた。

「ああ、3週間早く完成したよ」

 二人して完成したばかりの倉庫を見上げている。

「突貫工事だったからな。NWSのメンバーの中にも大工を仕事にしてるやつがいたから、あまり手間もかからなかった。大したもんさ」

 タイラーが言えば、マルクも満足そうに話す。

「正直、建材まで生産修法で半分用意するって聞いた時には、間に合うのかと思ったけどな。やっぱりいいものはいいよな」

「そういう材料を使っておけば強度も違うしな」

「うん、俺は材木の方を手掛けたけど、月齢を加味して虫食いに備えたりして、いい仕事したよ」

「あまり出番のなかった技術だからな。大掛かりにやれたのは、虹球界に移住した時の、いいデモンストレーションになったからな」

「なるほど、そういう見方もあるな」















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