第6話『今後の方針』

「すみませんでした!!」

 そこまで聞いて、ポールは勢いよく頭を下げた。

「うんうん、俺たちの組に参加するか? 一言アドバイスすれば、味覚が鈍ってるかもしれないから、白湯飲んで体調整えとけ」

 マルクの言葉に「あざーっす」と握手を求めるポール。

「ポールと言えば家事好きなのにねぇ。料理しなくなったの?」

 オリーブが聞くと、ポールは気まずそうに白状した。

「実は……最近、レパートリーがパッとしなくなって、外食して新規にメニューを開発してたところなんだよね」

「それはそれで真面目な理由のようだけど」

 トゥーラに言われて、赤くなるポール。

「食道楽気取ってたらこのざまで。みんな地道に努力してたんだね」

「食は生命の基本だからね。土から育てた作物もいいけど、自分でこさえた物は滋養にいいって教わって、それからだったな」

 キーツが振り返ると、ナタルも言った。

「身土不二っていい言葉だけど、土地のエネルギーをいただくのも心身を調えてくれるんだよね。パラティヌスはどんな食べ物もおいしくて、外食で摂ってもそんなに遜色ないと思う。ただ味が濃いからどうしても味覚が弱りやすいんだよね」

「中には微量の毒がある物もあるが、パラティヌスじゃそれも振り幅がないくらいだからな。ツイてたぞ、ポール。土地の浄化が追いつかない他の国だったら、変なことばっかり引き寄せてたぞ」

「ごもっともで」

 タイラーの言葉に頭が上がらないポール。

 黙って聞いていたアロンが諭すように言った。

「万世の秘法の秘法が意味するものは、技術があるレベルに達していることでも、申し分のない薫陶を受けて精神が鍛えられていることでもないんだぜ。修法を成すことのできるこの肉体。その精妙さを保っていることが大事なんだ。これは俺の言葉じゃなくて、ランスさんが別の言葉で教えてくれたんだ。だから、ポールもそこは勘違いしない方がいいぜ」

「うん、俺も今回は反省した。恥ずかしかったし、みんなに頭が上がらない。急いで肉体改造するから、少し時間をちょうだい」

「急がなくてもいいんだぞ。身体がついてこないからな。手間をかけることを惜しまなければ自然に調うよ」

 マルクの言葉をありがたがるポールだった。


 ランスがNWSの生産修法集計名簿を持ってきた。

「お待たせしました。これが集計名簿です」

「ありがとうございます。どれどれ……植物3~5は全員カバーしてて、うち建材4~6が28人か。優秀じゃないか」

 アロンが身内を褒めると、ポールがボソッと言った。

「食は生命の基本だからね」

「講習は必要かな?」

 ナタルが言うと、タイラーが答えた。

「地道な努力を嫌うやつは、どんな集団にも何%かいるからな。一度粛清かけた方がいいだろう」

「キビシー」

 ポールが目を強く瞑る。

「前はNWSに登録する条件が、生産修法の習得の有無だったよね。昔のことで忘れ去られてるけど」

 オリーブが思い出すと、キーツが言った。

「結局、生産体制を整える必要がなくて、廃止されたんだったよね」

「こんな展開は誰も予想してませんでしたからね」

 ルイスも本当に今さらだと思った。

「とにかく、講習のことと、振り分けは建材の28人にそのまま担当してもらうってことで問題ないな」

 マルクが話を元に戻すと、トゥーラが言った。

「いいと思うわ。十分な人数だし、リーダーも統制が取りやすいから」

「俺たちの振り分けはどうする?」

 タイラーが聞くと、アロンが答えた。

「ナタル・オリーブ・トゥーラ・ランスさん・キーツ・ルイス・あと俺の七人が植物でどうだ。マルクとポール、タイラーが建材を担当してもらった方がいいと思うんだが」

「じゃあ、植物の方はアロンがリーダー。建材はタイラーがリーダーだ」

「おう」

 マルクの指示に、タイラーとアロンが小気味よく返事した。

「俺は当面、ドギュスト部長との連絡係に徹するよ。しばらくはNWSも長老の指揮下に入ろう」

「了解!」

 全員が唱和した。

 














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