76-(3)知られすぎている?


人を持ち上げられるってだけでかなり強力な能力だということが実はわかる。


少なくとも凪元の体重分は持ち上げられるわけだ。

凪元の体重が50キロくらいだとすると、それくらいの重量のものは軽々と動かせる訳だ。

殺傷能力を持つ道具がことごとく60キロオーバーです、なんてことはない。


鈍器になりそうなものとかも動かせる。

つまり近距離の武器は近距離のパワーを持った遠距離武器になってしまう。


一般に保持が禁止されてる銃火器以外も武器に使えるのだから、汎用性は抜群だ。


「今考えると僕自身を持ち上げたというよりも、僕を縛ってたロープを僕と一緒に持ち上げた感じだったね」

そうだとしても直接持ち上げた訳ではないにせよ、そのような手法を使えばかなりの重量を持ち上げられ、投げ飛ばせるということだ。



そんな強力な力を持つ水沢上が、どうして俺から逃げたのか。

一つの可能性として、俺の能力を知っているからではないか?というものが挙げられる。


つまり、俺に近寄られた場合、能力の利を活かせず、やり合った場合に能力を発動した時に俺に触られてしまうことを危惧したのではないだろうか?

水沢上のような能力は、戦いの場合、遠距離でその本領を発揮できる。


俺に近寄られた時点でアドバンテージをだいぶ捨てている。

それが分かっていたから逃げたのではないだろうか?

そう考えると辻褄が合う。

辻褄が合うことと、それが真実であることは違うけれど。


「でも能力のことそこまで分かってたってこと?木々村くんの能力ってインターネットで公開されてるわけ?」


公開されているわけがない。そもそも能力の存在自体が世の中に公開されている情報ではない。

俺の能力がネットに公開されててたまるか。


「じゃあ誰かが呟いたとか?僕は呟いてないよ」


呟く?ああ、140字以内で投稿できるアレか。俺は使ったことはないが。殿子さんはアカウントを持っているとか。見る専らしいが。だから、殿子さんも呟いてないだろう。


「マジに考察しないでよ。冗談だって」

凪元に笑いながらツッコミを入れられた。

俺もそれが冗談だってことは分かっていたつもりなんだけどな……。



「そもそも木々村くんの能力のこと知ってるの誰よ?木々村くんの師匠や僕と古今泉ちゃん以外にいるの?」


「組織の人間は知ってる」

学校の中では……そうだ。養護教諭の人と古文の先生が組織の関係の人だった。師匠が言っていた。

しかしこのことは流石に凪元にもまだ言えない。

「組織の人間は知ってるって、それしか知ってる人がいないなら、木々村くんの組織の誰かが情報流してるとか、そういうこと?もしかして」


あり得なくもない。組織の者もやられているのだから。

もしかしたら、内部に裏切り者がいるということを考えて、師匠が直接こっちに来ようとしているのかもしれない。


「後は他の能力者の能力がわかる能力とか?そういうのってあるの?」


「それもあり得なくはないが……可能性としては、かなり低いはず」


「そうなんだ」


「そもそも他人の能力がわかる能力者は、自分のそばに能力者がいないと能力を発揮できないから、そもそも能力者だと自覚することが珍しく、見つかりにくいらしい」

昔師匠にそんなようなことを聞いた気がする。

野良でそんな能力が見つかるのはかなり珍しいということらしかった。


「なるほどねー。でもこの学校なら見つかってる可能性もあるよね」

「あるかもしれない」


何とも言えない。

俺が学校内でポンコツになっていなければもっと色々と分かったんだろうが。

能力が発動した瞬間に俺が反応できるはずだ。


能力がわかる能力を発動したのを感じるのは、中々特殊な状況のように思えるかもしれないが、言うなれば、自動的に発動してる能力をどう感じるのか?という話になる。


自動的に能力を発動しているのでずっと臭いがし続ける場合もあれば、その能力によって変化が訪れた時に気づく場合もある。

能力の種類と使う人物によって、俺の能力は感じ方が違う。


だから、俺が学校の外にいる時に感じることができてないなら、近くにはいないんじゃないのか?と断じることは全くできない。


本当に学校内部に裏切り者がいるのだろうか?


師匠が来るまでにまだ時間があるのだから、組織内の裏切り者について師匠にも聞かないといけない。




凪元の家に着いた後、凪元と能力に関する話をしていた。

もうすっかり凪元と能力についての考察をしている。


そう言えば怪異については?

学校の怪異について調べていたら今回のことになったはずだ。


「解決はしてないかな。でも、今日は何も仕掛けられてなかった。

水沢上が仕掛け人だと思ったんだけど、もしかしたら違うかもね」


「そうなのか」


「今日僕を攻撃してきたのは水沢上だから、昨日攻撃してきたのも水沢上だと思うけどね。でも、仕掛けたのは、水沢上じゃないかもしれない。水沢上がやったにしては、ちょっと甘すぎるんだよね」


「水沢上のことをヤケに評価するな」

いや、俺は水沢上のことを詳しく知らないんだけどな。生徒会で見たってだけだ。


「情報を調べた限りでは、もっとヤバいやつのはずなんだよね。今日の反応のこと考えると違和感が強いというか……はっきりとは言えないけど」


なるほどな。凪元にはかなりの人物に映っているということはわかった。


「だから、明日水沢上に迫ったとしても真実はわからないままかもしれない」


そりゃ大変だな。学校のことでは俺はまったく手伝えないし、凪元がやるしかなかなってしまう。



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