73-「1人きりの攻防」
体育館から出ることを考える。
今まではバレないように、窓から出るようにしてた。
けど、窓が割られるような状況じゃ、バレないように静かにやるとかの余裕はない。
出やすい扉から出ることを考えないといけない。
焦って周りを見れずに防犯カメラとかに映ってたらやだなぁ。
細工は一応してるけど。
なるべく僕だとバレる証拠は残したくない。
そんなこと言ってられる余裕もないかもしれないけど。
正面入り口から出ることはできない。
流石に外側から鍵をかけられてるから。
考えられるのとしては……トイレか?
トイレの窓って大きかったっけ?
小さかったかも?
そこがダメなら、あの破れた窓を無理矢理突っ切る。
あまり現実的ではないよなぁ。
2階の窓??
それこそまさかだ。飛び降りることは造作もないが、まず上に上がるまでに追いつかれる。
それに窓から飛び降りている間、大体2秒ほど(落下だけなら1秒ほどだけど、色々あって2秒以上)隙を晒すことになる。
うーん。まずカメラを潰すか。
目を潰せば、時間を稼ぐことはできそうだ。
でも、あの偵察機、いくらくらいするんだ?
廉価だったら複数用意してあるかもしれない。
それなら面倒だが。
相手はかなり油断している。
僕が体育館の中で袋のネズミ状態になっていると思っているのか、視界の高さのところまで、カメラを下ろしている。
遠距離の武器は用意してなかったけど、プロテクターは用意していた。
相手にバレずにそれを外して、ぶん投げる。
運良く相手の反応速度より速くぶつけられたらしい。カメラは僕が投げたプロテクターによって吹っ飛んだ。
200グラムくらいのやつだけど、綺麗に命中させればそんなもんでしょ。
同時に宙に浮いてるブロックたちが襲ってくるが、僕が飛ばしたプロテクターによって目が潰れているせいか、命中しない。簡単に避けられる。
僕はその間にプロテクターとカメラの方に駆け寄る。
カメラを踏みつけ完全に壊し、プロテクターを回収する。
よし。トイレに行こう。
僕が移動する間、フワフワとブロックたちは彷徨っているかと思いきや、床に落ちていた。
いや、まずいだろ。明日朝来たらみんなビックリでしょ。
僕が疑われるのは絶対嫌なんだけど。
とりあえずトイレの扉を開けた。
別空間への扉を開いた時に感じるあの圧迫感。
アリーナとトイレでは空気感が違う。
その差が一瞬身体と精神を怯ませる。
その圧迫感に抵抗を感じながらトイレを見ると、奥の方に登ればひょいと出れそうな窓がある。
やっぱりあった。体育館のトイレって使わない訳ではないけど、構造を覚えないよね。
こっから出よう。
ごめんね。体育館掃除担当の人。
鍵開けっ放しにするから明日怒られるかもしれないけど。
と、モノが飛んでくる前に僕は鍵を開け、さっと開け、そこから降りた。
うん、安全。
さっと周りを見渡すけど、何もない。
さあ、後は本体を誘き出すだけだ。
僕には木々村くんのように能力を感知する力はない。
だから、ここからは推理して考えないといけない。
僕の相手となる能力者はどこにいるのか?
恐らくだけど、偵察機があったとはいえ、学校の内部、あるいは、外部といえど近くにいるはずだ。
そうしないと僕の排除が万全とは言えないから。
明確な殺意を持っている人物が遠く離れたところ、例えば家から遠隔操作でやってるとは考えづらい。
いや、そんな推理めいたことを言っているが実は全部適当。
上の考察が的を射てるとは全く思っていない。
ごめん。
スペースの無駄遣いしてしまった。
相手がもっと格上であるならば、僕も真面目に考察したし、上の考察も多少は当たるかもしれない。けど、今回の相手はそこまで考察しなくてもいいだろうと僕は予想してる。
僕が蒔いた種が確かであるならば、芽吹いてくれるだろう。
僕はグラウンドの方に向かっていく。
相手としても直接対峙した方がやりやすいでしょ。
自ら的になりにいくような行為だけど、相手を誘き寄せて校外に出なきゃいけないからね。
あからさまくらいがいいんだよ、と思っていた。
僕が体育館と校舎の間を抜けようとしていると、薄暗い夜の帳から、微かに人影が見えた。
グラウンドに行くまでもなかったな。
はっきりとは見えないが、あれが能力者だろう。
体格から考えると……あれ?澤河仁じゃないぞ?
誰だ?
もちろん杉野山義明羅でもない。
アレ?おかしいな。僕の予想が大ハズレだ。
アレは??
ゆっくりと余裕を持って歩いてくる。
前に進むごとに下半身から段々と月明かりによって照らされていく。
その顔に光が当たった時、僕は気を引き締めなければならなくなったのを悟った。
相手は水沢上中だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます