39-待機。
師匠との会話を終える前に俺は池崎鯉弥についての情報を聞いた。
「池崎龍弥は能力は人心掌握能力だ。即効性はないが、時間をかけるとかなり自由に操れるようになる能力のようだ。その能力と古今泉百々華を餌に他の能力者の協力を取り次いでいる。58人。個人で集めたにしては相当な人数だ。その58人を味方につけるのが今度のパーティということらしいな」
実際の状況がどうなっているかはその場に行ってみないとわからないが、かなり人がたくさんいる中で色々とやるということになるだろう。
というか、俺が考えていたよりも人数が多かった……。普通、多くて5人とかを想定するだろ?
それが他の能力者58人って……どういうことなんだ?
疑問に思ったが、師匠が俺に言わなかったことを聞くことが怖かったため、俺はここは聞かずにいくことにした。それを知らなくとも、支障はないだろう。
師匠と話をした後も、俺は気持ちは重いままだった。流石に、今日回復は無理か。
いや、もう日付が変わっていた。こんな夜遅くまで起きているから、悪いように考えてしまうというのもあるだろう。俺はもう寝ることにした。
……古今泉にはどう対応すればいいのだろうか?
寝床についてもそんなことを考えてしまった。
木曜日と金曜日は学校では何事もなく過ごした。古今泉との連絡のやり取りはあったが。
木曜の夜は姉がまた出かけたということは聞いた。
結局、古今泉に対してどうすればいいかわからないままだったが、前と変わらずに対応した。
部隊の人からも連絡が来て、金曜日の夜のことをもう少し詳しく聞けた。
師匠からすでに聞いていたところもあったので、そんなに目新しい情報はなかったが、突入する予定の時間帯はわかった。タイミングとしては、能力者が全員中に入って油断してるころだとかいう話だった。
……その光景はあまり想像したくない。
それなのにお構いなく突入する。その辺、容赦ないよな。本当。
「ち、クソガキどもが集まって何するかってよー。バカじゃねーのかホント」
「猿が目の前で交尾してても誰も気にしねーだろーがよ」
「あ?気にするって?そーか。気にするか。まぁ、そこは耐えろ。とり逃す方が痛い」
電話口の人は以前と同じ人で、以前よりは穏やかだったが、基本口調の激しい人のようだった。
ちなみにこの人は部隊長ではなく、内部との連絡役をする人だったようだ。
金曜日の学校も先ほど言ったように何事もなく終わり、俺は準備を始めた。
任務用の服装に着替え、そのまま出かける。色は黒い。内側には衝撃を和らげる素材を内包している。殴られても、あるいは棒状のもので殴られても、割りと耐えやすくなるものだ。高校生くらいの男子がこんな服を着ていたら異様な雰囲気に感じられるかもしれないが、その辺りは気にしない。警察に見つかって補導されるのは勘弁願いたいが。
師匠が側にいるならまだしも、俺一人だったら切り抜けられない。
幸いなことに俺が現場に着くまでの間、全く警察には出会わなかった。余裕だった。
「おう、お前が木々村良平だな」
声をかけられた方を振り返ると、髪を染めたロングのヘアスタイルの女性だった。
声からすると連絡役の人だ。
「はい。お世話になります」
「ほらよ」
紙袋を渡された。重量はそこまでない。なんだ?軽いもの?
「服だ。古今泉百々華を回収するときに使え」
「はい」
なるほど。そういう。
「私らと一緒に突入だ。どさくさに紛れて古今泉百々華だけ回収していけ。そんでお前の役割は終わりだ」
「はい」
「私らはその場に残って奴らを全員取り締まる必要があるから残るが、お前は古今泉百々華を連れて帰れよな。タクシー代くらい持ってるだろ?」
「あ、はい」
そりゃ持ってはいるが……タクシーとか、普通の交通手段使って帰っていいものなのだろうか?
師匠と一緒に任務をしているときは、師匠の迎えと一緒に帰っていたが……。
まぁ、俺は部外者だからそういった手配もされないんだろうと自分で納得した。
目的の会場から少し離れたところから観察をしていた。何人か建物に入っていくのを見ながら時間を待った。
待っている間聞こえて来た会話によると、池崎の息がかかっているところで、不健全な行為も何でも許される場所らしい。本来は、違法なはずだが、許されるとは一体?
周りにも色々とうるさい店があるので、そこまで問題にならないのかもしれない。
予定では、開始される時間は10時頃で、11時頃に突入するはずだった。その頃になると能力者が全員集まるのだとか。能力者が集まる時間がわかるとか、未来予知でも使っているのかもしれない。
10時になる前から人がまばらに入っていったが、やはり開始時間前に特に多くの人が入っていった。
そこから1時間程度、待っていた。
そろそろ11時を回る。俺が現地に着いたのは8時前なので、3時間以上、待機していることになる。俺だけでなく、部隊のほとんどが息を潜めて待っているのだが。俺なんかは完全にアウェーなので、本当に何も喋ることはなかった。
部隊は全員で30人ほどいる。部隊の人たちの多くは能力者だ。もしかしたら、全員かもしれない。だから、この場で既に能力の使用を察知していた。かなり多くの匂いが入り混じっている。
58人の能力者を相手にするということだが、足りるのだろうか?
師匠がいれば余裕だろうなとは思うのだけれど。師匠の率いる部隊なら相手がどんな能力者であれ、かなりの人数の規模を制圧できる。200人相手でも余裕だったと聞いた。
その辺の心配は俺がしても仕方ないかもしれないが。事前調査をしっかりしている辺り、ちゃんと考えがあるのだろう。
俺は俺の仕事を黙って遂行することに注力していればいい。
「よし、行くぞ」
部隊の中の誰かが言った。
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