アフリカ

 遠い地への憧憬は誰もが持つものだと思う。そしてその場所は鬱蒼とした山奥、絶海の孤島、風に凪ぐ大草原、異民族の集落、眠らぬ大都会など、人によって異なる。私の場合、その対象はアフリカである。何が私をアフリカへ駆り立てるのかはわからない。文化に対する興味か、或いは今の自分とは対照的な生き方かもしれない。だが一つ確実なのは、現地の言語を問題なく話せる能力があるとしたら、私は必ずアフリカへ行くだろう、ということだ。

 しかしどの国に行きたいとかという具体的なものを思うと途端に憧憬は雲散霧消する。セレンゲティの草原やキリマンジャロの山々、サハラやナミブの砂の海、そこに暮らす人々の息吹、そうしたアフリカ的要素を一度にこの身で感じたい。アフリカという概念への憧れなのだ。その意味では、TOTOの「Africa」に共通するものがある。架空のアフリカだが、間違いなく「文明社会」に住む私を魅了してやまないのだ。

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