文字
同じ星の下に生を受けた動物ながら、コミュニケーションツールとして使う記号が地域的僅差でこうも変わってしまうとは。出張先のホテルに新約聖書が置いてあった。だがその聖書の巻頭には、ヨハネ福音書3章16節の各国語訳が記載されていた。無料で語学をやってよいのかと私はかなり興奮した。粗方の言語はラテン文字表記だが、中でも一際異彩を放つ三巨頭がある。アラビア語と(おそらく現代)ヘブライ語、シンハラ語である。それ自体が抽象絵画のようなアラビア文字、いかにも古代文明の聖典という雰囲気のヘブライ文字、宇宙語とさえ思われるシンハラ文字。これらが同じ文章の下一堂に会する機会は滅多にない。
文字と言えば日本語も他国から見ると厄介者らしい。複数の表記体系を同時に使う言語は他にない。セルビア語はラテン文字とキリル文字の二種類で表記するようだが、それは対訳と同じだ。一文に複数の文字が登場する日本語の方がよほど宇宙語かもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます