湯舟

 風呂に入るという行為はまこと面倒なものである。もちろん上がった後のサッパリした感覚は嫌いではないし、殊にこの時期は入らなければ体中に納豆が張り付いたような感覚がするので入らねばならない。だが、服を脱いで身体を洗って再度乾かす、この一連の流れが非常に面倒なのだ。人間にも脱皮の機能が備わっていないものかしら。

 そういえば、先日実家に帰ったので湯舟に浸かった。独り暮らしをしていると、ただでさえ面倒な入浴という作業の中に湯舟に湯を張るという準備がもう一段階加わる。面倒だ。たった独りで精々五分程度しか使わないのに、そこまで大層な水を消費する程のメリットがあるのかとも考えてしまう。結果、シャワーを浴びるだけに留まるのがここ数年の常となっている。ゆえに久しぶりの湯舟だったわけだが、これはこれで良いものだとも思う。爺臭い内容で終わりそうだが、風呂は命の洗濯という某氏の発言はまこと的を射ている。

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