第2話 恋文—葉落月(八月)
振り返ると、赤や黄の葉がゆらゆらと舞い
その瞳をはっきりと
美しかった
見つめる川の流れが
瞳に映ると泣いているようにみえた
貴方のその美しい瞳を
人差し指で
優しくくり抜いて
私の大切なものにしたい
ほんの少し潮の香りを含む風を感じ
下唇をぐっと噛み締めた
その風が
貴方と私の世界をゆっくりと
私の中でコマ送りされている世界を
焼けた鉄球が
押し付ける
貴方にまっすぐ目を向けることも出来ず
頬にあたる風を
貴方の細い指が触れているようだと
瞼を閉じる
貴方はここにいる
私の長い黒髪が
飛び回る
貴方の肩越しに見える風景だけでも
いや…
この場私の心だけ
乱雑に千切り
置き捨てていこうか
微笑む貴方の瞳は
何も知らなくていい
美しい
あともう少しだけ
この
足りない時間は
私の血を混ぜたっていい
あともう少しだけ
貴方を
貴方をこの瞼に
この一瞬を焼き付けるまで
來宮 理恵
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