ロケット

まめぃ

第1話

私の街にロケットが来た。


ロケットは光りながら煙を出しながら降りてくる。


みんなの携帯に通知が来る。


焦る人。泣き崩れる人。立ち止まる人。


周りなんて関係ないかのように


ロケットだとはしゃぐ子供。


ただ私はロケットを見ていた。


最後の最後まで。




私の街にロケットが来た。


あのロケットには人が乗っているのかもしれない。


宇宙人が乗っていて地球を侵略するのかもしれない。


何も乗っていないのかもしれない。


ほかの街、ほかの国の人は見えるのだろうか。


私はただロケットを見ていた。




私の街にロケットが来た。


SNSにはロケットの事がいっぱいなのだろうか。


メディアはこのロケットでもちきりなのだろうか。


専門家はこのロケットの考察を話すのだろうか。


どこか遠くの人はロケットの事をどう思うのだろうか。


私はただロケットを見ていた。




ただ、ゆっくりと降りてくるロケットを。


ロケットの正体は知っている。


少しだけ夢が見たかった。


一瞬でも希望が欲しかった。


私はただロケットを見ていた。


ロケットはどんどん降りてきて。


私の街に光と熱を届けて。


ロケットは地面まで降りて、人々を天に昇らせた。


今頃SNSは、メディアは、専門家は、どこか遠くの人は


何を思うのか。何を言うのか。


彼らは本当に生きていたのか。


ロケットだって、生きていたかもしれない。


私はただロケットを見続けていた。


最期の最期まで。


私の街にはロケットが来た。


私の街をロケットは持っていった。


私たちの命と一緒に。

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ロケット まめぃ @mameeeee

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