運命の女

まさかの大技、<飯綱いづな落とし>で忍者ザルの頭を地面に叩きつけた蟷姫とうきは、勝利の余韻になんざ浸ることもなく、そのまま「ぐあっ!」と大口を開けて首筋に喰らいついた。


そうだ、蟷姫とうきは、動いてる状態の獲物しか食わねえ。とどめを刺す前にもう生きたまま食うんだ。


「ギャーッッ!!」


明らかに頭を砕かれおそらく首の骨も折れてるだろう忍者ザルも、そのまま首の肉を食いちぎられると、何とも言えねえ悲鳴を上げた。どのみち助からねえにしても、生きたまま食われるってのは、さすがにきついよなあ。


だが俺も、そういうもんだってのは分かったからな。蟷姫とうきのやってることを『残酷だ』だとか言うつもりもねえ。彼女が勝ち、忍者ザルは負けた。負けた奴は勝った奴の糧になるってのが<節理>ってもんだろ?


人間だけだ。いちいちごちゃごちゃと御託を並べて<敬意>だなんだとくだらねえ戯言をホザくのは。


『負けりゃ死ぬ』


『負けりゃ食われる』


それでいいじゃねえか。それで何が問題だ? 


この期に及んでも抵抗しようと手足を動かす忍者ザルを押さえつけて、蟷姫とうきは何度も喰らいつき、肉を食いちぎり、ガツガツと貪った。その姿を、俺は、


「は……! これが『美しい』ってえもんか……」


思わず口にしちまったよ。ああ、俺はこの時の蟷姫とうきを美しいと思った。ギンギンに勃起しちまってた。


『ヤりてえ!』


と思っちまった。人間の女にゃここまで滾ったことがねえ。


くかか! そうか! 俺の<運命の女>はここにいたのか!


そうして、忍者ザルの断末魔の痙攣すら収まると蟷姫とうきはべろりと長い舌で口の周りの血を舐め取った。そんな彼女の腕を掴んで引き寄せ、顔に付いた忍者ザルの血を俺も舐める。


「!?」


驚いた様子の蟷姫とうきだったが、抵抗はしなかった。だから俺はさらに彼女の顔も首筋も舐めて、抱きしめた。


蟷姫とうき! ヤらせろ! いいな!?」


俺の言葉が分かるわきゃねえが、彼女が俺を受け入れたことは分かった。俺のモノが、すんなりと収まったしな。


「ギ……!」


小さく声を上げて、蟷姫とうきが、ビクンッと体を跳ねさせ、のけぞる。それでいて腰ははっきりと彼女の方から押し付けてきた。確実に俺のを捉えるためだろう。できる限り自分の奥深くで受け止めたいんだろうさ。


なら、俺としても応えてやらなきゃなあ!


彼女の腰を掴んで、ぐりぐりと動かす。


ああ、たまらねえ! こんなのは生まれて初めてだぜ! そうだ! こいつは俺んだ! 俺のものだ! 頭のてっぺんから足の爪先まで、体の奥の奥底まで、全部俺のもんだ!


愛してるぜ! 蟷姫とうき!!


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