とんでもねえ奴だ
「ゲヒッ!?」
「ゲッ!? グエッ!?」
モロに蹴りを食らって、横隔膜辺りが痙攣でも起こしたか、まともに息ができないようだ。血を吐いたりはしてねえから、肺までやられたわけじゃねえみてえだけどよ。
そこに
かろうじて躱して飛び退き、長い腕を伸ばして枝を掴み、樹上に戻ろうとする。
ああでも、
「ギャアッ!!」
また悲鳴を上げて、それでも忍者ザルはもう一方の腕で枝を掴み直し、体を持ち上げる。いやはや、しぶとい。人間だったら腕の骨を折られた時点で心も折られて情けない顔をするところだったかもな。
だが野生の獣ってのは、諦めが悪いんだ。腕が折れようが脚が折れようが、体が動くうちは生きようと足掻く。忍者ザルもそうだった。
手が使えないなら足で枝を掴み、
ははっ! やるなあ!!
でもよお、
すると忍者ザルも、折れた腕さえ木の枝に引っ掛けて複雑な機動を見せ、彼女のカマを紙一重で躱す。が、
カマが空振りした反動を使って体を縦回転させ、浴びせ蹴りのようにして足を繰り出す。
おいおい、それは俺は見せてねえぞ。自分で編み出しやがったか。
とんでもねえ奴だ。まったく。
しかもその浴びせ蹴りで忍者ザルの足を払い、バランスを崩させた。さらにその所為で折れた腕の方に体重が掛かったらしく、
「ギアッ!!」
とまた悲鳴を上げながら滑り落ちた。
その忍者ザルの体に空中でカマを引っ掛けて掴み寄せ、
ああ、見たことあるぞ、これ! 大昔の漫画だ! <
「ゲヒッッ!?」
モロに頭から、それこそ自分と
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