第10話祐を待っていた人たち

純子が部屋からいなくなり、祐はドッと疲れを感じた。

そのまま、ベッドに横たわる。

「・・・神経使った」

「確かに親切で、人懐っこい人だけれど」

「どう反応していいのか、わからない」

「嫌いなタイプではないけれど」


少しして、机の上に置いたスマホが鳴った。

手に取ると、懐かしい叔母、美智代の名前が表示されている。

「はい、祐です、昨日引っ越して来ました」

「あ・・・まだ連絡できなくて、ごめんなさい」


叔母美智代は、明るい声。

「もう!祐ちゃんの連絡待っていたのに、ヤキモキしちゃった!」

「お母さんから、昨日の引っ越しも聞いていたしねえ・・・」


祐はタジタジ。

「荷物の片付けとか、いろいろあって」

それでも話題を切り替える。

「なるべく早く、お店に伺います」


叔母美智代は、ますます明るい顔。

「うん、私も祐ちゃんの顔を早く見たいし、旦那も首を長くして待っているよ」

「それともう一人」


祐の顔が明るくなった。

「恵美ちゃん?元気にしています?」


叔母美智代は、プッと吹く。

「今ね、私にピッタリ張り付いて・・・仕方ない、電話変わるよ」


その直後だった。

電話の相手が恵美に変わる。

「祐ちゃん!あのさ!」と猫なで声。


祐は身構える。

「・・・何?」


恵美はクスクス笑う。

「デートのお話・・・どう?」

祐は少し引く。

「従妹と?デートでなくて、単なる街歩きでいいのでは?」


恵美は、また笑う。

「祐ちゃん、やはり堅物・・・」

「そんな祐ちゃんに、彼女の勉強をさせないとねえ」


祐は頭が痛くなって来た。

「まだ、入学式前、そんな余裕ないって」


しかし恵美は、また笑う。

「もう無理、私の親友の美咲に祐ちゃんの写真見せたら・・・もう美咲は乗り気も乗り気」

「いつ東京に来るの?とかアパートはどこ?って、私も手に負えない」

「だから・・・お願い・・・」


祐は、あまりの話に、ヘキエキ状態となっている。

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