第9話部屋に戻った純子に危険な電話

私にとって至福の「祐君との共同作業の時間は」あっと言う間に過ぎ去った。(口惜しいけれど)


さて、私は、ここで迷ってしまった。

もっともっと祐君とお話をしたい、のも本音!

祐君の持っている「源氏物語」「枕草子」についてもお話をしたいし、奈良平城京とか明日香村については我が故郷でいくらでも話が尽きないはず。

しかし、いつまでも居座ってしまうと、「しつこい、重たい、うざい」と思われるのではないかと。


結局、そんな不安が勝り、私は祐君の部屋を後にした。

それでも「何かあったら、ドアをノックしてね」と、ウィンクまで添えた。


祐君は、うれしそうな顔。

「わかりました、本当に助かりました」で見送ってくれた。

ウィンクはなかったので、リップサービスかな・・・と思ったけれど、そうは思いたくなかった。


「うんうん、これで今後の生きる希望が・・・バラ色?」と思いながら自分の部屋に戻ったのである。


・・・がしかし・・・私の心は、やはり変になっていた。


とにかく、隣の祐君が気になって仕方がない。

少しでも隣から物音がすると、聞き耳を立てたくなる。

今・・・何をしているのかなとか、困っていることがないかな・・・とか・・・


それと・・・祐君の「女性関係」も気になる。

「あれほどの美形で可愛くて雰囲気がいい!」祐君に気を寄せない女子がいないわけがない・・・と思うし、その女子が私より「格上なら?」と思うと、ますます気になって来た。


「やはり・・・シェイプアップしないと・・・かな・・・」

まず思ったのは、それだった。

Bは「まあ、自信がある、形も量もしっかりとしたもの(母譲り・・・単なる遺伝かも」)

しかしWは、母譲りで危険な兆候(食べ過ぎかもしれない)。

Hに至っては、祖母から続く「安産型!の女王」だ。


そんなことで私が悶々としていると、高校時代の悪友可奈子から悪の誘いが入って来た。

「ねえ、純子、今日ね、ピザとビールの飲み放題の店に行こうって話があるの」

「場所は吉祥寺!来るよね、純子」


私は、そこで思った。

「悪友とは交わるべきではない」

「ここで危険な誘いに乗るべきではない」

「これ以上、体型を崩せば、祐君ゲットは・・・望み薄だ」


そして可奈子に目いっぱいのか弱い声で「お断り」

「あのね、私は少し風邪気味なの、ごめんね」


しかし、可奈子もさるもの。

「ふぅーん・・・大食漢で健康優良児の純子がねえ・・・」

「何かあったの?」

この暴言には、私も抵抗した。

「何よ、私だって、か弱い乙女、風邪ぐらい・・」


可奈子は、私の反応にプッと吹き、「はいはい、わかりました」。

そこまでは良かった。

「明日、お見舞いに行くね」と危険な発言。


「あいつだけには、祐君を見せたくない」

仮病の私に、頭痛が始まってしまった。

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