第26話 救った命
頭から縦に一閃に斬られたモンスター。
人間ならばとっくに絶命しているような状態でもなお、異常な生命力を発揮してそれでも息をしていた。
さらにモンスターはこちらのことを殺さんとする明確な意思を持って、その体を動かし近づいてくる。
「まだ…動く、のか」
しかしその歩みは遅く、右腕を失っていることで数歩歩いてはバランスを崩している。
僕は確実に息の根を止めるために剣を構える。
けれどその必要はなかった。こちらに伸ばされる左手が宙を掻き、振り終わる前からどろどろと溶け液体となり石畳の上に滴り落ちていく。
それは水溜りとなり、蒸発していった。
「終わった…のか?」
どんっと背中から衝撃が走る。何事だと後ろを振り返ると、灯さんが僕に抱きついてる。
抱きついてる…?
「やったよ!やったよ!明君!私達、生き残れた…」
「あ、灯さん!?嬉しいことは分かりますけどだ、抱きつくのは…」
僕の言葉を聞いた彼女は一瞬固まり、我に帰ったのかもの凄い勢いで僕から離れる。
「ご、ごめん。今のは忘れて」
僕から離れた灯さんは顔を俯けながら僕に言ってくる。
(喜びで我を忘れてしまって抱きついてしまったんだろうけど…。流石にあんな反応をされると凹むなぁ)
その後、灯さんの足の傷を「メディキット作製」で出したもので応急手当をし、少し休んでからダンジョンから抜け出すため僕達は階段を上っていく。
帰り道は特段何もなく平穏に進むをことができた。
「明さん。私の命を救って下っさって、ありがとうございます」
ダンジョン前の道。灯さんがもう大丈夫と僕と別れ、それぞれの帰路に立った時。
僕が帰り道を歩く灯さんを見送っていると灯さんは振り返り、僕に向かってそう言って、頭を下げる。
「いえ!そんな頭を下げなくても…。僕は当然のことをしたまでですから」
「でも、明さんは少なくとも私にとってそこまでの事をしてくれたということですよ」
僕は頭を下げる灯さんに驚き、当然のことだと言うと、灯さんは更に深く頭を下げる。
(参ったなぁ…。僕、こんなこと言われる事ないからどうすればいいか分からないよ)
僕が対応に困っておどおどとしていると、灯さんは顔を上げてとびっきりの笑顔を見せる。
「今日は本当にありがとうございました。またいつか、何処かで会えるといいですね」
そう言って彼女は元の帰り道の方に向き直り、今度は振り返ることなく歩いていく。
『《クエスト》 「Rescue!」が達成されました。
報酬として、派生スキル 「いち早く駆けつける為に」を入手しました』
―――――――
あれから家に帰り、夕食を食べ、リビングで寛いでいると僕のスマホに通知が来る。
僕のスマホに通知が来るのはかなり珍しいことなのでどうしたのだろうとスマホを取る。
画面を見ると、黒部さんから『君に紹介するクランとの予定がついたから、明日ハンター協会に来てくれ』という連絡が入っていた。
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