第25話  魔法と剣技

 モンスターがこちらに向かってくる。が、幸いにもその速度はあまり速くはない。


(気を付けるべきは腕を伸ばす攻撃か…。だとすると、相手からしたら中距離戦の方が分がいいはずなのに何故近づいてくるんだ?)


 それでも、僕にはモンスターの考えなど分かるわけもないので僕から動くこともできない。

 モンスターが左の爪で攻撃をしてくる、のだがやはり、手を発射してくる攻撃に比べ鈍く、僕は悠々と対処をしカウンターで相手に斬りつける事さえもできた。


 斬りつけられたモンスターは相も変わらず下卑た笑みを浮かべる。


(何だ?とても嫌な感じだ。何かおかしい。違和感がする?)


 モンスターは僕から数歩離れた所で右腕を持ち上げ、わざとらしく手のひらを僕の方へと向けてくる。


「ッ!」


 相手が避けさせようとしているのは分かっているが、あの威力の攻撃を受けることができない僕は回避を選択するしかない。


びゅぉぉぉっ


 音を立て腕が通り過ぎる。

 右腕を避けた僕は、片腕が使えない今がチャンスとみて攻撃に転じることにしたが、


「きゃぁぁぁぁぁぁぁ」


後ろから響いた悲鳴によって待ったがかけられる。

 僕が慌てて後ろを振り返ると灯さんの横腹をさっき僕が避けてしまった右腕が削り取っている。


「なっ?!…最初からそれが狙いだったのか!!!」


 怒りのあまりに声を荒げると、それを聞いたモンスターは「ケケケケケケ」と耳障りな笑い声のようなものを出し、喜ぶ。

 その行為は僕の火に油を注いだ。


「クソ野郎がっ!様子見なんかせずに速攻で倒してやる」


 僕はさっきまでの相手の出方を伺う姿勢を止め、一転してとにかく攻撃して相手に反撃する時間を与えないような戦い方に切り替える。


「らああっ!!!」


 一歩にして相手の懐に入り込み、下から上へと胴体を斬り上げる。

 先程まで守りに入っていた敵がいきなり接近し、攻撃したのにモンスターは対応できずに無防備なまま甘んじて猛撃をその体に受けてしまう。

 斬り上げられ、空中に浮いたモンスターの顔は笑みが消え、その代わりに深い驚きが浮かんでいる。

 空中から地面に叩きつけられたモンスターは漸く茫然としてから自分が斬られたと気づいたのか、絶叫を上げる。


「グァァァ!!!グルァァァァ!!!」

 

 奇声を発し、僕に目掛けて腕を振りかぶってくる。

 けれども、その速度は今までとは違い、気を抜くと一瞬で見失ってしまうような勢いだ。


「クッソっ!?今までは本気じゃなかったって言うのか?」


「大丈夫なの!?私もできる限り援護したほうが良いんじゃ…」


「大丈夫だから逃げてって言いたい所だけど…結構厳しい。何ができる?」


「魔法が、波を生み出したり、操る魔法が使えるわ」


 波?


「それはっ、どんなことができるんだっ?」


 モンスターの猛攻を防ぎながら聞く。


「電子レンジの原理って知ってる?」


 電子レンジ?確か、電磁波を当てて……なるほど!

「魔法 《クリエイトウェーブ:エレクトロマグネティック》」


 灯さんが魔法を宣言するとともにモンスターの右腕の表面が泡立ち、異様に膨れ始める。

 次の瞬間、風船のように膨らんだ腕だったものが弾け飛ぶ。

 肉片、体液が辺りに飛び散る。


「ふふ〜ん、どうよ私の魔法は……あ!」


 弾けた腕の小片は、当然近くで戦っていた僕に降りかかる。


「ごっごめん!!」


「大丈夫。こんな時に丁度使える技を持っているから」


 剣を構えなおし、上から力いっぱい振り下ろし空を斬る。何にも当たるはずのない斬撃は不可視の刃を生成し、前方の障害物を切り伏せ敵に迫る。


「《空斬》」


 飛ぶ剣影は相手の身体に剣のカタチを刻み付ける。

 血の雨が散った後、残ったのは瀕死のモンスターだった。

 


 



 

 

 

 


 

 

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