第17話 蛇穴ダンジョンボス(3)
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――――――――――
黒騎士が上段から剣を振り下ろしてくる。
「ここだっ」
タイミングを見計らっていた僕は振り下ろされてきた剣に合わせて盾を思いっきり振るう。
黒騎士の剣は盾に弾かれ、腕は体を置いて大きく後ろへと反らされた。黒騎士の顔に初めて焦りが生まれる。
僕は踏み込み、黒騎士の腹を横一文字に斬り払う。その斬撃は鎧を貫通し、黒騎士の肉体まで届く。黒騎士の腹から赤黒い濁った血が滲みだす。
僕はその血が滴り落ちる前に追撃を始める。
縦に、横に、腹を、腕を、足を、首を、顔を。とにかく攻撃の手を休めず斬ることに全神経を注ぐ。
最後に、盾で黒騎士に突進し壁に叩きつける。
「ハァハァハァっハァっ………ふぅ」
後先のことを考えずに全力を出したため息が切れ、倦怠感が背中にのしかかる。
しかし、この攻撃は黒騎士にかなり効いたようで体中切り傷だらけで武器も落としてしまっている。けれども、黒騎士はまだ生きていた。
「止めを…刺さないと…」
この時、僕は少なからず油断していた。武器を持っていないから、こんなボロボロで何かできると思えないから、疲労で、とにかく僕は黒騎士に対する警戒を少し、ほんの少し緩めていた。
僕が止めを刺すために近づき、剣を突き刺そうとした瞬間、黒騎士は僕の手を殴り、剣を弾き飛ばす。
「なっ!?」
不意を突かれてしまった僕はその後の攻撃もよけれず、腹に強烈な回し蹴りを食らってしまう。
「ゲフッ、ガㇵッ」
衝撃で息が詰まり、口の中に血の味が広がる。
ただ、僕は運よく黒騎士が落としてしまった片手剣の所へ吹っ飛ばされた。
痛む体に鞭を打ち片手剣を拾う。黒騎士に向き直るともうこちらに迫って来ていた。
その体でどうやって、と思わざるを得ない俊敏さと威力で僕を追い詰める。
なんとか攻撃が当たらないように防ぐが腹に直撃した蹴りが体に響き、ついに限界を迎えてしまう。
黒騎士の拳をもろに食らってしまい、今度は僕が壁に叩きつけられる。
黒騎士は落ちているツヴァイヘンダーを拾い、僕に止めを刺さんと迫ってくる。
(動けっ!僕の身体は強化されてるんだろ?だったらここで動けよっ!)
しかし、強化された肉体とて相当なダメージを負ってしまっているようで僕の身体は少ししか動かない。こんなのでは黒騎士の攻撃なんて到底避けれない。
僕が動けないでいると、黒騎士は拾ったツヴァイヘンダーを引きずりながらこちらに近寄り、頭上に剣を持ち上げその剣を振り落とした…。
キンッ
剣と剣がぶつかり合う音がし、諦めてしまい閉じていた目を僕は開く。
目の前では黒部さんが僕を両断するはずだったツヴァイヘンダーを受け止めていた。
「諦めるな明君!!君に生きる意志があるならその剣を構えろ!」
僕はいつの間にか動くようになった体を使って何とか立ち上がり、剣を構える。
黒部さんはあの黒騎士を圧倒し、押している。
(いくら黒騎士がぼろぼろと言っても、圧倒している黒部さんはさすがとしか言いようがないなぁ)
「明君、今だっ!」
黒部さんが一層強く剣を振り、黒騎士のツヴァイヘンダーを弾き隙を作る。
僕はなけなしの力を振り絞って黒騎士との戦いに決着を着けるべく走り出す。
黒部さんと入れ替わり自分に止めを刺しに来る僕を確認した黒騎士はこちらも最後の力を振り絞り、弾かれたツヴァイヘンダーを無理矢理振り下ろそうとする。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
「があああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
僕らは共に叫び、視線を交差させていた。
僕は突きを繰り出し、黒騎士の心臓を串刺しにしようとし、黒騎士は上から振り下ろし、僕を一刀両断しようとする。
時の流れがスローモーションのようになっていくように感じるが、より速く過ぎていくようにも感じる。
そして―――――――
黒騎士の背中に剣の切っ先が生えた。
魔石を砕く感覚と共に、黒騎士の力が抜けていく様を間近で見る。脱力した黒騎士の手から、カランッと音を立て大剣が落ちる。
『《クエスト》「継ぐ思い」が隠し条件を満たしたことにより達成されました。
報酬として、派生スキル 「
脳に反響する言葉を聞き、黒騎士を倒したことを認識た僕の視界は急激に狭まり、暗くなってゆく。
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