成人式の価値観
3月19日。成人式の前撮り。そのために振袖を決めに行った。正直、メンズスーツが良かった。「スーツでいいよ」と母に伝えたが、また一蹴された。母至上主義であるのと、金を出すのは母のため任せるほかなかった。自分でわざわざ予約をした。嫌だった。
当日、私は泣き崩れた。自分でも当時の感情を説明するのは難しい。(ただ、本当に嫌悪しかなかったということだけ伝えておく。)店員も母親もパニックになっていた。そりゃそうだ。“普通の女性”ならみんな喜んでくるのに。その日は前撮りの時に着る振袖を決めるだけだったのに突然「※ヘアメイクします」と言われたため、自分も「聞いてた話と違う」と思いパニックに陥った。(※その当時の自分にはヘアメイク=化粧をするだと思い込んでいた。)
母親が成人式の時に着ていた振袖を試着することになったが、もう云十年前であるため年季が入って着れそうにないため断念。「落ち着いてきたでしょう」と言われ、ヘアメイクに参戦。その時も泣いていた。自分でもわからない。勝手に零れ落ちていくのだから。申し訳なかった。ただ、過ぎていく時間を待つだけだった。
自分が泣いた甲斐があったのか、トップの方が自分についてくれた。1000人以上の人を見てきたと言われて「そんな人がわざわざ自分ごときにつくんか」と思っていたりもした。
無事、決まったが、本当に行きたくない。前撮りすらも嫌になってきた。もう女性として生きるのをやめたい。普通の人間として扱われたい。生物学的に男と女があるだけじゃない。とみんなのなかで解決してくれないか。
母親と対峙するなんて到底無理。今のままでは。
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