放課後

昼休みの後にも色々あったが放課後になった。



「さっき皆で決めた学級委員長さ、本当に学級委員長みたいな見た目だったよな。」



「メガネに長髪にあの口調だもんな…純も純で男女だけどな。」



「優、それは禁句だろうが!おれの好きにやらせろよ!」



「別に純に女らしくした方が良いと思って男女と言ってねえよ。純は純らしくて良いと思っただけさ。」



「…最初からそう言えよ。優は本当に思った事がすぐ口に出るなぁ。」



「悪かったよ。」



純と話し終え帰宅しようとしたら目の前に不機嫌な顔をした綾乃が目の前にいた。



「優、何で私と一緒に図書委員やってくれなかったの?」



「…綾乃は何であれでそう出来ると思ったの?また同じ事されたせいで全然覚えてないんだけど!」


また綾乃のせいでカップル騒動が起きたから、僕は午後の学活でした役員決めはクラスの誰が何の委員になったのか覚えてないのだ。



「…図書委員は宅田くんと小田くんになったよ。」



「それは楽しくなりそうだなぁ。」



「おれもそう思うけど、周りの反応は違ったな。」



「まぁ、仕方ないといえば仕方ないよな。あの2人はかなり濃いから。」



「優と綾乃の後に手をあげる度胸の人間は現れなかったからあの2人が勇気を出して手をあげてくれたからあの2人になったようなもんだからな。」



「…2人して私のせいにしたいの?」



「おれはそう思ってないぜ。」



「俺はそう思ってるよ。あれがなけりゃ普通に進行出来てたからなぁ。」



「優が私と図書委員やれば良かったじゃん!」



「俺は読書が好きだけど本の管理をするのは好きじゃねえんだよ!勝手に決めんな!!」



「…2人共、落ち着いて。皆が見てるから話は後にした方が良い。」



友和が声をかけてくれたおかげで冷静になれた。周りを見渡すと、クラスにいる殆どの人が僕達をみていた。



「こんな所で話しても埒が明ねえから早く帰ろうぜ!」



「そうだな、皆面白そうに見てるからな。」



「優が大声出すからだよ!」



「綾乃が最初からあんな事しなけりゃ良かっただろ!?」



「いいから2人共早く帰る!それで良いね!?」



「…分かったよ、友和。」



「ごめん、友和君。」



僕達は足早に教室を出た。




帰り道、しばらく無言が続いた。何か話そうと思っても何を話せば良いか分からないからだ。



「そもそもさ…何で2人で事前に一緒に委員やるとか話さなかったんだ?」



「あ、純の言う通りだ!何で綾乃そうしなかったんだ!?」



「だって、話しても私と一緒に委員をやるつもりなかったでしょ!だから、私が手をあげれば優も一緒にやる流れになると思ったからそうしたの。」



「…分かった。話をしても無駄な事が分かった。」



「…流石にこれはおれに出来る事はないかな。好きもいき過ぎればこうなるのか。」



「純、助けてくれよ…。」



「優、何で純ちゃんに助けを求めてるの?私は優の為に頑張ってるんだよ。」



「何が俺の為だよ!俺の為ならおれが綾乃を好きだと思える行動してくれよ!」



「ずっと一緒に居たいんじゃなかったの!?あの言葉は嘘だったの!!」



「ずっと一緒に居たいのはとしてだ!何でとして一緒に居させようとするんだよ!?」



「そうじゃないとずっと一緒に居られないからだよ!今だって私よりも純ちゃんと一緒に居ようとしてるじゃない!!」



「それは恋人でも友達でもなくペットだろ!リードでも付いてんのか!?」



「何でそんな事言うの!?私が嫌いになったの!」



「綾乃の事は嫌いではないけど、無理矢理恋人にさせようとするのは嫌だと言ってるんだよ!分からない!?」



「…綾乃は優が言った一緒に居たいはとしてやろうとしていて、優が自分で言った一緒に居たいはとしてやろうとしているで合ってるか?」



「その通りだよ、純。」



「私だってそれは分かってるよ!だから、よりも一緒に居れるになろうとしてるんだよ!」



「分かってる様で分かってねえな!綾乃以外の友達と遊び時間がなくなるから恋人になりたくねえって言ってんだよ!!」



「…だったら、今の関係で解決しないか?」



ぼくも綾乃も純の言葉が分からなくて気になっていた。



「だからさ…綾乃は綾乃で優と恋人関係になれる様に付き合えば良いし、優は優で綾乃と友人関係のままで居る様に付き合えばいいんじゃねえの?」



純の言葉には理解出来たが納得出来なかった。何で態々したくもない事に付き合わされないといけないんだ?この解決方法はどちらも譲れない事がある時にする方法だ。どちらか一方がどうでも良いと思ったら逃げる事が出来るから今の状況ではこの解決方法は綾乃にとって悪手では?



「そうだね、純ちゃんの言う通りだね。そうすれば優にもクラスの皆にも認めてもらえるから良いね!」



綾乃の言葉を聞いて気づいた。そうだ、誤解であれ噂であれすでに外堀は埋まっているのだ。だから、ぼくは逃げる事が出来ない。この問題を解決するには綾乃が諦める以外の選択はないのだ。



「何でこんなに付き合わないといけないんだよ!そもそも俺が恋人になりたくもないのにやっても無駄だろ!」



「優、本当に無駄かな?綾乃もクラスの皆も優と綾乃がカップルになるのか気になってるからなぁ。さすがにカップルになれたかなれなかったかはハッキリした方が良いんじゃないかな?」



ぼくの思考を読んでいたかの様に純は悪魔の顔をしながらぼくに答えを求めてきた。この状況を楽しんでんじゃねえよ!と言いたかったが火に油を注ぐ事になるのが分かっているので何とか堪えた。



「分かったよ、純の提案に乗るよ!」


ぼくが諦めて観念すると、綾乃は対照的に喜んでいた。



「それじゃあ、話もついた所で帰るか…ってここ何処だ?」


辺りを見回すと気づかないうちにぼくも知らない公園に居た。



「また騒がれたら周りに迷惑をかけると思って知り合いが建てた名前のない公園、通称“裏道公園”に連れてきたよ。人通りがない河川敷にあるから余り人がいないから一人になりたい時は偶に使わして貰っている。あの道を通ると見慣れた大通りにすぐに出るからこの公園を使いたい時は使って貰えたらいい。」



「さすが友和、持つべき親友!…悪かったな、迷惑をかけて。」



「僕も何も出来なくてごめん。僕は喧嘩した時どちらかが自分の意見を押し通すまで終わらないと思っていたから口を出せなかった。まさか純ちゃんがあんな方法を思いつくなんてね…。」



「そうか…友和はそうだよな。」


ぼくはそれを口に出そうとしたがやめた。友和がそれを聞くとぼくと口を聞かなくなる可能性があったから。そんなぼくの悩み等分かっている様に友和はぼくに向かって微笑んでいた。




色々あったが、話はぼくと綾乃の恋愛ごっこを始める形で終息したので僕達は帰宅した。自分の部屋に居ても何も思わなかったし何も変わらなかった。変わった事と言えば綾乃のSNSのメッセージの数がいつもより増えただけだ。ぼくは渋々返信し、いつもの日常に戻っていった。…純とは明日休みに遊べるかな?純は本当に良いだから一緒に居たいなぁ…。

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