第14話




「 そうだ!これだよ!?授業中、いつもメガネをかけてる…えっと…たしか…」



メガネ?



「…ななせだ!?」



私の名前覚えててくれてた…



ハッ!?



…山代くんを至近距離でまともに見てしまった…


また、顔が紅くなってゆく…


フラフラするし



「でもさあ、どうしたの、それ?」



「?…」



「セイカと同じじゃん…」


せいかって?


「 セイカも、こっちに来いよ!」


彼は、話していたつり革の人のほうを見て、その人を呼んだ。


あの人の名前だったのか…


ちょっとだけ目線を上げてみた。


けど、聞こえていないのか聞こえないふりをしているのか、反応がない。



「おい!セイカ!?」



山代くんが何回呼んでもふり向こうともしない…



「 シカトかよ 」



山代くんから笑みが消えた…



ソワソワ…ヒャッ・・


すると私の耳元に顔を寄せてきて、囁き始めた。


(あいつさ…女嫌いだから、ほとんど女子とはしゃべったりしないんだ…)



お、女嫌い?



(それなのにさ、悔しいけど、モテモテなんだよね…あいつ…)


モテモテ!?…ふぅ・・ん・


ふと私はまたセイカ君のほうを見た。


雨の世界しか見えない窓を見つめていた。


アッ…


突然、セイカ君に振り向かれた。


でも、すぐにセイカ君は目をそらし、同時に私も俯いてしまう。

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