第22話 託されし想い
「写真? アンタ……幼馴染なんだから、それくらい持ってないの?」
しかし、理解を示すよりも先に、そんな疑問が飛んでくる。ジト目でこちらを見遣る火口からな。
「自慢じゃないが持ってない。あいつと話したのだって、半年前の『七不思議狩り』ん時以来だったからな」
「え? あの時は結局、会えずじまいだったような……?」
そう返すなり、水戸からもそのような疑問が。
「あぁ、実はこいつ……
解説ご苦労、
「ただ者じゃないとは思ってたけど、ホントぶっ飛んでるわね。アンタ。でも……ありがと。星羅の為に頑張ってくれてさ?」
「ボクからもお礼……というか、謝らせて? 半年間も何も無かったから、ボク……正直、『もう無理なんだ』って期待するのやめちゃってた。でも、そんな中でも数原くんは一人で必死に頑張ってたんだね? ごめんなさい……。そうとは知らず、何もしてあげられなくて……」
すると火口が、水戸が、二人して頭を下げてきた。オレには――「その意味がよく分からなかった。別に謝ることなんざ何もないのに、オレが勝手にやってるだけなのに、二人が頭を下げるその意味が。まあ、恐らくオレのことが好きなんだろう。仕方ない。二人纏めて今夜抱いて――」
「おい、ボケ。勝手にオレの心ん中を代弁すんな」
と、危うく乗っ取られかけてたオレは、隣にいた
「え? でも、だいたい合ってただろ?」
「半分しか合ってないわアホ」
それでこのやり取りは終わり。早々に流した。つもりだったのだが……
「えっ⁉ ア、アンタ……アタシらを抱くつもりなの……⁉」
「数原くんっ⁉ いくら怒ってるからってそれは……!」
「合ってんのは前半の方だ、前半の方……ッ! もういいからさっさと写真寄こせよ!」
「アタシたちの……?」
「星羅のだッ! せ・い・ら・の! いい加減、殴るぞ……!」
ということで、紆余曲折(オレに対しての謂れのないドン引き行為)ありながらもオレは、なんとか星羅の写真データをゲット。携帯に送ってもらった。
目的も達成したゆえ、もう用はない……とはいかない。どうやら火口はその先も気になるようで……
「それで……いつ行くのよ? 星羅を追いかけにさ?」
踵を返しつつあったオレの袖を掴み、上目遣いを交えて問うてきた。
「さあな。また半年後かそれとも一年後か……。とにかくやれることは全部やるつもりだ」
すると、それに続いて今度は水戸が、
「でも、写真があるとしても、向こうは別世界なんだよね? そもそも言葉が通じなかったりするんじゃ……」
もう片方の袖を掴んでくる。……なんだ、それ? 流行ってんのか?
「心配しなさんなお二人さん。人間にはよ? ジェスチャーっつー、最強の意思疎通手段があるんだ。そいつがある限り、人間の間に壁なんて存在しねえのよ」
実にいいセリフだが鷹志。お前まで袖を掴むのはなんでなんだ? 関係なくないか? 絶対。
「だとしてもよくそれで行こうって気になるわよね……。いくら友達の為とはいえ、アタシなら躊躇しちゃうかも……」
ぐい~ぃっ……
「ボクも同じことやれって言われても無理だなぁ……。だからこそ、一人で行くというのは、あまり賛成できないかも……?」
ぐい~ぃっ……
「大丈夫だって。こいつはそういう感覚ぶっ壊れてるから。ほとんど悪い方にしか働かないが、こういう緊急時は驚くほど使いもんになる。向こうでだって、きっと上手くやるさ」
ぐい~ぃっ……
もうこれ、袖取れるんじゃないか?
◆
「よかったろ? 話、しといてさ?」
朝のSHRが差し迫ってた為、なんとか三人の魔の手から逃れたオレは、教室へと戻る道中、肘で小突いてきた鷹志にそう耳打ちされる。
火口と水戸。前を歩く二人の安堵した背中、横顔を見れば、その意味は自然と理解することができるだろう。オレが一人で抱えてたばっかりに、不安にさせちまってたみたいだが……今はだいぶマシになったか。
「そうかもな」
なのでオレは素直にそう返しておく。こればっかりは鷹志に感謝だ。
「そうだろうそうだろう。ま、本番はこっからだろうからよ? お前は自分のやるべきことに集中しろや。で、星羅ちゃんのこと探し出して、ちゃーんと連れ帰ってこい。それまでの間、こっちのことは俺に任せとけ」
頼りになるのは結構なことだが、こっちの心配はそれほどしていない。
けど――
「フッ……あんまり羽目外しすぎんなよ?」
『熱』とは違う何か熱いものを感じ、気付けばオレは口元を緩めていた。
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