第四章 リアル

第49話 はぐれた

「ぎゃーーーー!!」

「ふぎゃーーーー!!!」


(にゃ、にゃんだふる!)


 梨紗が混乱していると、ギルは大きく手を広げて嬉しそうに笑った。

 どうやら、こちら目掛けて走ってくる進撃の猫たちを、まとめてハグするつもりのようだ。


 梨紗は大慌てでギルから離れた。瞬間、大量の猫たちがギルに襲いかかっていった。

 ギルの姿はもう見ることができない。


 猫の大群に流されて、梨紗はどんどんギルから離されていく。

 猫の大群が怖かったので1人で逃げていると、気づいた時には、山の麓にある見たこともない村に辿り着いていた。


「にゃ……?」

「なんだ? 神獣か……?」


 梨紗は声の方へ振り返ると、そこにはフードを被った男性(?)らしき人物がいた。


「にゃー(誰?)」

「私か? 私はトマスと言う。狐族の18歳男性だ」


 トマスと名乗る男性がフードを外すと、小麦色のフワフワした狐耳が現れた。


「にゃにゃ!?(なんと狐!?)」

「君はどんな生き物なんだ? 神獣なのは確かだと思うが……?」

「にゃ!(会話が成立してる! こんなこと、初めてだ)」


 梨紗は、言葉が通じることが嬉しかったようで、トマスとたくさんお話をした。

 自分の名前は“梨紗”、今までは人間の女性だったのに、気づいたら猫としてこの世界に存在していたこと、しっぽが二つになり混乱したこと、“私”なのか、“わたし”なのか、わからなくなってきたこと。私はかつて猫を飼っていて、……あれ? 何かがおかしい。でもそれが何なのか、わからない、こと。


 トマスは全ての話を聞くと、


「ふん、なるほど。私にもよくわからん」


 と言った。


「かつて人間だったものが、神獣になるなんて、聞いたことないな。あと、単純に意味がわからないことがたくさんあった。もう少し、自分への理解を深めるといいだろう」

「にゃ(そうだね)」

「私はこのまま旅をするが、君はどうするんだ?」

「にゃー(ついて行ってもいい?)」

「ええ、嫌だ。」

「にゃにゃ!(おねがーい!)」

「やだね。」

「にゃ。(そんなん言っても、勝手について行くもんねー!)」

「……(突然走り出す)」

「にゃー!(待てーー!)」


 そんなこんなで、ギルと逸れた梨紗は、(梨紗の意思で強制的に)トマスの旅に同行することになった。続く。

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猫になったけど、まあいっか。 こと。 @sirokikoto

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