第13話 目覚め、散策
「……ぃ、……ぉぃ、おい!!」
「!?」
すぐ傍から聞こえた大きな声に僕は飛び起きました。
いったい何が起きたのかと思っていると。
「おい! 大丈夫か、ルエン!」
心配そうに、僕に声をかけているサリュがいました。
すぐに返事をしなければ、と僕は声を出そうとしますが。
「……ぅ」
のどが引きつり、うまく声が出ませんでした。
なぜだろう、と思っていると、サリュが机にある水差しからコップに水を注ぎ、僕に渡してきました。
「ルエン、とにかく今はこれを飲みな。声出ねぇんだろ?」
僕はサリュの言葉に頷いて、コップを受け取り水を飲みました。
そうしている間に、僕がどういう状況だったのかをサリュが教えてくれるようです。
「まず、俺が覚えている限り、お前は飯を食うまでは意識があったはず。そのあと、お前は急に寝落ちしたんだよ。あんな環境にいたから疲れてんだろう、と思って、お前の部屋のベッドまで運んだんだ。ここまではいいな?」
一度、僕に確認をした後、サリュは続けました。
「んで、それからお前は寝続けていたんだよ。今日は、お前が騎士団の宿舎に来て、六日目だ。今日までに何度か声をかけたんだが、一昨日あたりから流石にまずいと思って傍にいたんだよ。んで、起きる兆候があったから、声をかけたわけだ」
サリュの言葉を聞いて、そんなに寝ていたんだと思うと同時に、白い彼に言われた通り六日間も経っていたんだ、と驚きました。
驚いている間にもサリュは僕の様子を見ながら、言葉を続けました。
「騎士団でも大きな仕事やけがを負ったあとは、かなり長い間寝る事があるのは経験上知っていたが、お前までこんなに寝るとは……。よほど身体が疲れていたんだろう。どうする? 今日の外出はやめて、部屋で休んどくか?」
「そうですね……」
今日の予定を聞かれて僕が最初に思ったのは、こんな僕に気を使ってもらって申し訳ない、ということ。
そして、元々決めていた予定を変更するのは更に申し訳ないということだ。
つまり、僕の返事は決まっている。
「いえ、今日、外出しましょう。時間に問題なければですが……」
僕の言葉に頷いたサリュは時間を確認したあと、言いました。
「午前十時過ぎか……。朝にしては遅いし、外でふらふらしながらどっか寄るか……。よし、んじゃ、着替えるなり身支度整えるなりして、外出るか」
サリュの言葉を聞いて、着替える服あったかなと思っていると、サリュが何かに気付いたように言いました。
「あ、っと、お前の着替えはクローゼットに入ってるからよ。てきとーに着てこいや。あと、奴隷のときに歯磨いてねぇだろ? 歯ブラシとコップも机の隅に置いてるから。行ってこい」
サリュに言われた通り、部屋にはすでにそこそこ物が揃っていたので、ベッドから身体をおこして、さっさと身支度を整えました。
「さて、もう十一時前だが、飯いくか? つっても、冒険者ギルドの食堂ぐらいしか安くて美味い店は知らないけどな」
王城を出てすぐに、馬に乗せられた僕にサリュは言いました。
ちなみに、王城の正門の隅にある小さな出入り口から、僕たちは外に出ました。
正門は式典やパレード、他国の訪問者の歓待などで使用するそうで、基本の出入りは今日通った、正門の隅の簡易な扉を使うそうです。
簡易といっても、色々なチェックがありますが……。
サリュが指示してくれる馬に乗って、僕たちは街に向かいました。
王城から見て、冒険者などの平民が住む区画は、貴族が住む区画の外側にあり、結構な距離があるそうです。
サリュは僕の体力や移動時間を鑑みて、馬での移動を選んだとのこと。
パカパカと一定のリズムで軽快に進んでいくと、貴族街と平民街の境に来ました。
境では騎士の方が、通りを見張っていました。
サリュ曰く、貴族街から出るのは特に審査はないが、入るときはそこそこ手間がかかるそうです。
ちなみに、サリュも見張りの仕事をしていたようです。
平民出身騎士が主に担当していると言っていました。
何も知らない僕に、サリュはいろいろな話をしてくれました。
サリュの話に気を取られながらも平民街を眺めます。
平民街に出てまず思ったのが、貴族街よりも音が多いなぁと思いました。
馬が通れることと治安を鑑みて、大通りと呼ばれる広い道を通っていましたが、たくさんの人が道を行き交い、さまざまな話し声による音が混ざり合い活気があります。
僕には若干うるさく感じますが、それも楽しめとサリュは笑っていました。
サリュに連れられ、まず冒険者ギルドに来ました。
僕もいずれ冒険者になるだろうし、厩舎などもあるだろうからと、最初に冒険者ギルドに寄ったそう。
冒険者ギルドは大通りの広間に構えているようですが、どこに厩舎などあるのかと思っていると、王都に住む民衆から苦情が来ないように、冒険者が多く利用する区画があり、そこに厩舎を構えているようです。
厩舎で馬を預かってもらったりしていると、正午も過ぎた時間まで経っていたので、そのまま冒険者ギルド内に入ることに。
長い時間寝ていた為に、おなかも空いているので、ご飯がより楽しみになりました。
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