第26話 返信
誰にも見せるつもりのないもの。心の声、それをここにしたためている。
私はいつも心の扉を開けて、その中で来るはずのないあの人を待っている。寂しくないだろうか。ちゃんと食べているのだろうか。誰かに心を解放できているのだろうか。そんなことをいつも思っている。
私もその1人。確かに身近に人はいる。家族もいる。でも心の部屋ではいつも1人。あの人が来ればどんなだろう。どんな話をするのだろう。私は聞き役?それともあの人が聞き役?きっとお互い何も話すこともなく、それでもお互いに心の中で繋がっている安心感から会話もない。一緒にいてもただお互いにしたいことを黙々としているのだろう。私は読書、あの人は言葉を紡ぐ。そして咄嗟に目が合った時、ニッコリ微笑んで、少しばかり話しをする。邪魔していませんか?いいえ、大丈夫ですよ。それで十分。
静かな時間が流れる。お茶を飲む。あの人はコーヒーが好きだからコーヒーを淹れてあげよう。私は、同じものが好き。感性が似ているので、何でも分かるの。今必要なものが。ひと通り、のんびりして外界に疲れたらまたいらっしゃい。待ってる。
ワールドツアーを終えた感情を出さない静かなあの人が熱烈ラブレターの様な恋文のようなポストをしてきたのでその意味を色々と考えていたら1週間経っていた。物凄い衝撃。心の中に何かがずしんと落ちてきて化石となってしまった様な衝撃だった。自分の気持ちを整理するためにもその手紙の返信のつもりで記す。
いつもいるしこれからもずっといるよ。
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