第1話 ■もいなくなった日常


入り口で爺様たちに会釈してポストの出入リストにササッと自分の名前を書いて出る



巨大な血だらけのうさぎを背負ったままだ



軽トラにドスンとうさぎを積んだ


エンジンを掛けて後ろのうさぎを確認する


簡単には落ちなさそうだし血もたれてない



さっさと車を走らせる



ハンドルを握る手が少し痛い、足を斬りつけたときに痛めたな


やはり刃物は扱いが難しい

 

しばらく走らせているとバリケードを通り過ぎた


安全地帯の商業区画だ



「お?ジャイアントラットか?最近また値上がりしてよ、待ってな、前の金を持ってくるから」



肉屋のおっさんだ


ここに肉を持ち込んで捌いて売ってもらっている


値段は市場価格よりも安く、冒険者からの特別販売ということにしてもらっている


食糧不足なので価格の維持なんてあってないようなものだ



同じく野菜を売る場所にもトラックからズタ袋をおろす


金を受け取り、金物屋で包丁を受け取り、コンビニ弁当のようなものを買う

また値上がりしてるなどうでもいいが



途中■■を見た、手を握り込んでしまう



軽トラでさっさと帰る


今日も包丁が駄目になった


包丁なんてそもそも武器では無い



ダンジョンでモンスターに対してちゃんとした武器を持って戦うほうがいいに決まっている


だが武器の需要は高いのに供給は少ない



だから仕方ない



持って帰って集めた包丁を庭でグラインダーをかける


酷く割れたものはそのままぽいっとペール缶の刃物入れに入れた


包丁の数も減ったので新しい包丁のバッケージを開けていく


途中一本落として床に刺さる



トスッ



やはり新品は切れ味が良い


あぁこれで





・・・・・





・・・・・・・・





続けよう、20本ほど新品の状態で出し、刃の形にダンボールをカットしてガムテープで簡易的な鞘を作る


できたら山積みにしていく


新しい道具の時は安心して使える


まだ残っている予備の包丁と一緒に幾つか持っていくことにしている



次に改造してるのは木製バットに金属の板をガムテープでとめたメイス……いやバットだ



金属製ではモンスターを殴るとすぐに変形してゴミになった


木製バットではすぐに割れるか折れた


そもそもバットはボールを打つためのもので、肉の詰まったモンスター相手では不足だった


元々工作は得意だったので針金を巻いてみたり釘バットを作ってみたがイマイチだった


丈夫といえばダクトテープだよなとテープを巻いたらそこそこ強度は上がった


折れてもテープが繋ぎ止めてくれているので折れたら即終了ではなくなった


だがまだ足りない


表面のテープが切れたり破れたりすることがある


映画で針金や鉄筋を使ってナイフから身を護るというシーンを見たことがあったのでバットとテープの間にやってみた


微妙だった、テープに隙間ができて強度が落ちてる感じがする


いろいろ試していってホームセンターの鉄棒をバットの周りに接着剤とテープで止めることで強度と威力の上昇が出来た


バットにテープに長方形の鉄棒は相性が良かったのか中々全体が丈夫になった


単管を使おうとも思ったんだが握りで手を痛めた


新たな一本をトラックに入れる


タバコを一服し、日課のトランプマジックをこなす



もう深夜か



コンビニ弁当を食べ、シャワー浴びる、そして布団で寝る



「おやすみ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る