28. 魔性の女(16)

「働きぶりは悪くはなかったですよ。何か問題でも?」

人事部長は、お人好しなのか、よほど暇なのか、紗耶香の身上調査に付き合ってくれた。

「いえ、特に問題はないです。・・・男性関係はどうでした?」

思い切って聞いてみた。

「ああ、派手でしたね。・・・あの整形美人」

人事部長は、こんな下世話な話をしたかったのかもしれない。

「整形美人?」

「休暇を取るたびに美人度が上がるので評判でした。男子社員が取り合いになって

それはもう大変で・・・」

「入社時には、結婚していたのですか?」

「ええ。でも、そこをまったく気にしないタイプのようです」

たしかに、紗耶香はどこへ行こうとも、それを気にかける女ではなかった。


葛城社長と紗耶香がシカゴに飛ぶと、じぶんは上海の工場へひとりで出かけた。

現地で雇った日本人の技術コンサルタントと、ULに提出する量産スペックの試作品をチェックし、金型製作の手配をする仕事をまかされていた。


葛城社長が華やかな表舞台で踊る主役とすれば、こちらは日陰の裏方さんだ・・・。

なんとか、調達部品と調達先のメーカーのリストを作成し、大まかな量産スケジュールも策定して東京にもどることができた。

疲れ果てて家に帰ると、弁護士からの催告書がテーブルの上に置いてあった。

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