第12話 やっと

明日部屋に来るようにと

言ってやった

あいつは少し驚いてたが

明日必ずとひと言残し

主のもとへ行ってしまった


「今から向かいます」


メールの文字を見ただけで

鼓動が跳ね上がった

いい年したおっさんが

みっともねぇ

そう思っても息が苦しい

本当苦しいソファーに倒れ込む


気がつくとおまえに膝枕をされ

頭を撫でられていた


起き上がり向き合うと

おまえは俺の手を取り

「おいで」といいながら

優しく引き寄せ

啄むような口づけを

唇に何度も落としていく


涙が溢れる

その涙も吸い取られ


俺は厚い胸にしがみつて

苦しかった

悲しかった

逢いたくて

抱いて欲しくてと

泣きじゃくる


強く抱き締められ

耳元で

「俺も同じでした。

逢いたくて

抱きたくて

死ぬほど苦しかった」


声が震えている

泣いている?


顔を上げると

深い口づけをくれた


「抱いて 優しく抱いて」


おまえは頷き

もっと深く絡み合う口づけを

落とす








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