80日目 中二病社会

 三笠教授が提唱した霊界に関する理論は、世間から笑い話として受け取られていたのだが、二十年後に安藤教授がその理論を実現してしまったことで世の中は変わってしまった。

まさに「地獄の釜の蓋が開く」状態で、霊的な存在が世の中に溢れてしまった。

 安藤教授は霊との友好的な関係を夢見ていたようだが、実際の霊は現実を生きている人に対して凶悪な敵意を見せた。実験の成功と同時に安藤教授は行方不明となったが、全身を喰らい尽くされたとみられている。

 そんな存在が世の中に溢れてから、世界で原因不明の志望者や行方不明者は急激に増えた。今では、真剣に霊的存在による人類滅亡について語られている状態である。

 原因となった安藤教授と理論を提唱した三笠教授は、「人類を最も殺した発明者」として扱われ、三笠教授は自ら霊界に旅立ってしまった。


 そんなわけで、霊も存在するし、霊能力者という存在も生まれた訳である。

 私は中二病の盛りに、三笠教授の論文を読み込み、安藤教授のホームページに通い詰めていた。その当時、論文はオカルト界隈にはカルト的な人気を博していた。

 霊の能力を得るための方法を理論に合わせて検討したり、儀式をしたりということをしていた。

 しかし、実際に霊の力が人に宿ると、それまでにやってきたことはほぼ意味がなかった。儀式なんかは必要なかったし、霊能力が得られる水などは詐欺商品だった。

 実際に霊能力を得た人は、学校でも中心的な人物や活動的な人だった。どうやら生物としてのエネルギーが重要であるらしい。

 私も憧れの霊能力を求めて色々と試したのだが、それでも他の人より劣った程度にしかならなかった。

 こんなことなら、霊能力がない方が良かった。

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