第13話
次の日の昼過ぎ。
サイトスさんの研究所を訪れる。
インターホンを鳴らすと、サイトスさんが出てきた。
「あ、ミントさん」
「こんにちは」
「こんにちは、今日はどういった用件で?」
「毒消し薬について、聞きたいことがあるんです」
「おー、そうですか。お入りください」
「ありがとうございます」
サイトスさんは机を片づけると、緑茶を運んできてくれた。
「いただきます」
「はい、どうぞ」
緑茶を一口飲み「実は知り合いが、魔物を退治しているときに、毒のある魔物を見つけたみたいで、退治するために毒消し薬が欲しいと言っているんです」
「なるほど。完治に時間が掛かる試作品ならありますが、すぐに完治となると……」
「無いんですね」
「作ればありますよ。ただそれには毒を持つ魔物にある、毒を蓄える袋を入手する必要があります」
「毒を以て毒を制すってことですか?」
「そうです。それに今回、開発できた回復薬を調合すると、出来上がりです。あ、その節はどうも」
「いえ」
と、返事をして、頭を下げる。
「その袋の写真とか、魔物の写真あります?」
「ありますよ。お待ちください」
サイトスさんは本棚の方に行き、ガサゴソとやっている。
一つの分厚い本を手に取ると、息を吹きかけ、埃を落とした。
その本を持ってきて、机にドサッと置くと、ページをめくり出す。
「こいつです」
ふむふむ。
プラント系の魔物ね。
触手が何本もあり、薔薇のような棘がついている。
色はほぼ緑で、黄色い花の中心が口になっている。
ふむふむ。ここから毒を吐きだすのね。
「もしよろしければ、差し上げますよ」
「え?」
「私、間違えて2冊、買っていたのです。整理整頓しないからですね」
と、サイトスさんは苦笑した。
「では、貰います。ありがとうございます」
「いえいえ。あ、そうだ」
と、サイトスさんは思い出したかのように言って、フラスコなどが置いてある引出しの方へと歩いて行った。
引出しをあけ、何やら取り出すと、こちらに戻ってきた。
紫色の液体が入った小瓶を三つ、机に置くと
「これ、持って行ってください」
「これは?」
「試作品の毒消し薬です」
「いいんですか?」
「魔物退治に役に立つのですから、いいのです」
「ありがとうございます。では、そろそろ失礼します」
と、言うと、緑茶をすべて飲む。
「また困ったら、来てください」
「はい」
私は研究所を出ると、家へと帰った。
夕方。
手入れしたクワを使い、家の横にある畑を耕す。
「おー、頑張っているね」
と、アラン君が言って、近づいてくる。
私は手を止め、クワを置くと「今日は終わり?」
「あぁ」
私は手の甲で汗を拭うと、「ちょっと待っていてね。区切りの良いところまでやる」
「大丈夫だよ」
作業を再開する。
アラン君はその場に膝を立てて座った。
ジーッと見られている気がする。
「なぁ、ミント」
「ん?」
手を止めずに返答する。
「おまえ、髪を切らないのか?」
「髪? うん、まだ切る気はないよ」
畑を区切りの良いところまで耕し。「終わったー」
と、言って、クワを置く。
「何で、そんなこと聞いたの?」
「あぁ、何となく」
「ふーん、変なの。ちょっと待っていて、手を洗ってくるね」
「あぁ」
外に備え付けてある蛇口をひねり、水を出す。
手を洗うと、蛇口を閉めた。
玄関に入り、近くに置いてあったバックを手に取ると、
ハンカチを出して手を拭いた。
次にお財布を取り出し、お金を取り出す。
外に出てアラン君のところに行くと「はい、今日の分」
「いつも、ありがとう」
「こちらこそ。あ、忘れていた。ちょっと、待っていて」
「慌ただしいな」
「ごめんなさいね」
私はそう言って、家に入る。
居間の机に置いてあった毒消し薬と、図鑑を手に取ると、
また外に向かった。
「これ」
と、アラン君の前に突き出す。
「図鑑と薬?」
「そう、アラン君が依頼してきたやつ。薬は試作品だから完治するのに時間が掛るって」
アラン君は薬をズボンのサイドポケットに入れると「この図鑑は?」
私は図鑑をめくると「完治する毒消し薬が欲しいなら、この魔物の毒袋が欲しいんだって」
「あ、こいつ俺が見た奴だ。じゃあ今回は、なるべく毒に当たらないように、こいつを退治して、毒袋を手に入れなきゃいけないってことか」
「難しそうね」
「あぁ、俺は火の魔法しか使えないから、直接攻撃で、倒さなきゃいけないって事だからな」
「あぁ……燃えちゃうもんね。気をつけて」
「どっちの心配だ?」
「もちろん、体よ。意地悪な質問ね」
アラン君はニヤリと笑うと「悪い」
アラン君は図鑑を閉じると、「これ、返しておく」
「もういいの?」
「あぁ、大体分かった。それじゃ明日、そいつを見かけたら退治しておく」
「うん、お願いします」
「あぁ。お前も腰を痛めないように気をつけろよ」
「ありがとう」
アラン君に手を振り、見送る。
さて、そろそろ片づけをして、今日の複製をしたら、家に入るか。
その日の夜。
今日の整理をする。
手持ちの薬草【28個】
手持ちのお金【553P】
依頼の期限【7日】
今日も一日疲れたな。
でも体動かすのもいいものね。
心地よく眠れそう。
明日も頑張ろ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます